SSブログ

任意後見制度 その4 [後見制度]

任意後見契約の現状

 では,任意後見契約の現状はどうでしょうか。これまでどれだけ任意後見契約が締結され,登記されてきたかということです。私が一番知りたいところでした。司法統計を調べれば出てくると思うのですが,横着しまして,先日のリーガルサポートの研修会での梶田美穂さん(リーガルサポート大阪支部 副支部長)が講義で紹介されましたので,そこから引いてきたいと思います(とてもいい講義でした。情熱が伝わってくる講義でした。ありがとうございました)。委任者の年齢やどのような人が受任者になっているかということも,知りたいですね。この講義は,昨年(平成21年)の8月29日に行われたものです。

 平成12年4月から平成20年12月までの任意後見契約締結登記の件数累計が,3万2,983件だそうです。どうでしょう。多いと感じますか,それとも少ないと感じますか。結構多いではないかと思った人もいるかもしれませんが,私は,少ないなと思う1人です。しかし,平成20年中は,7095件ということですから,増えてはきているのでしょうね。

 次に,任意後見監督人の選任の申立ては,というと,全体の6%から7%かとされています。2,000人かそれより少し多いというところですね。それにしても,少ないですね。委任者の年齢からみて任意後見契約が効力を生ずる前に本人が亡くなってしまったとか,比較的に若ければ(若くなくてもでしょうか)本人が同意をしない等の理由によるのでしょうか。

 委任者の年齢は,80歳以上が約半数を占め,受任者は,近親者・知人が70%で,司法書士が15%だそうです。

 さて,任意後見人の報酬ですが,近親者・知人等が70%をしめるということですから,この場合は,無報酬が多いと考えられます。無報酬は,50%だそうです。残りの50%は,月3万円未満が最も多く,次いで,3万円から5万円,10万円以上が5%だそうです。報酬については,1月の定額の基本的な報酬のほかに個別的な報酬(特別報酬)も加わり,金銭的ゆとりを有する者だけが利用できるという声もあるようです。