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「体系書 会社法 上巻」の訂正表 [体系書 会社法]

「体系書 会社法 上巻」の訂正表です。


「体系書 会社法 上巻」(平成22年4月28日 初版第1刷)

1 P200 表の一番下
  「発行済株式総数の増減 株式無償割当て」のところ(一番右)に下線部分を追加
  増加(すべて自己株式が交付された場合は増加しない)
2 P371 9行目 次のように変更
  …例えば,取締役を累積投票により5人選任する場合において,…
3 P371 12行目 次のように変更
 2人はどうするか。…
4 P403 16行目~17行目 次のように変更
…また,代表取締役の解任の決議における当該代表取締役については争いがあるが,

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発起設立と募集設立 その2 [体系書 会社法]

 平成2年の商法改正において,発起設立の手続の改正が行われました。立法担当官の著「改正会社法」では,設立手続の合理化として,発起人の員数,最低資本金制度につづき,「発起設立における検査役の調査の廃止と株式の払込取扱機関の介在」という項目が挙がっています。

 えっ発起設立においては検査役の調査は,平成2年の改正によってなくなっていたのか・・・。そうではありません。調査の対象の問題です。それまで,発起設立においては,変態設立事項だけでなく,払込み及び現物出資の給付の有無についても,裁判所に検査役の選任を請求して,検査役の調査を受けなければならなかったのですが,これを廃止したのです。払込み及び現物出資の給付の有無について検査役の調査を要するとするのは,払込取扱銀行等において払込みをしなければならないとはされていなかったことと対になっていました。そこで,同時に,募集設立だけでなく,発起設立においても,払込取扱銀行等においてしなければならないとされました。

そして,同時に,払込取扱銀行等の払込金保管証明についても,それまでは,募集設立についてのみ適用があったのですが,この改正により,発起設立においても適用があることとされました。

 さて,会社法はどうなっていますか?払込取扱銀行等への払込みという点については,募集設立と発起設立とで違いはありませんよね。では,払込取扱銀行等の払込金保管証明制度についてはどうでしょうか? そうです。募集設立の場合だけとなっています(会社法64条)。この払込金保管証明制度の点においては,平成2年の商法改正前に戻ったことになります。

 発起設立において,上記の改正をした理由は何か。それは,多くの場合,発起人以外の者から出資を募集することはないだろうから,株式会社を設立するには募集設立の方法よりも発起設立が適当である・・・にもかわらず,それまで,発起設立の利用が少なかった・・・どうしてだろう・・・。それは,発起設立の手続によれば,変態設立事項がなくても,かならず裁判所に検査役選任の請求をしてその検査を受けなければならない,時間がかかる(費用もかかる),迅速に設立できない・・・これが原因ではないか・・・。発起設立を利用されやすいようにするべきであるが,どうすればよいか,上記の検査役の調査を廃止するのがよい,しかし,出資の履行を確保する必要がある・・・払込取扱銀行等においてということにしよう・・・というわけです(現物出資についても他の方法による給付の確保に関する一定の手当てがされました)。

 このような改正が行われた結果,さて,会社法制の現代化に関する要綱試案を作成する段階において,株式会社の設立の方法としては,「募集設立に対するニーズが減少している」(会社法制の現代化に関する要綱試案補足説明)ということになりました。

 「会社法制の現代化に関する要綱試案補足説明」において,株式会社の設立方法を発起設立に一本化する理由として,次のように述べられています。

 「・・・募集設立に相当する設立手続がない有限会社と株式会社との規律を一体化するに当たり,両者の差異をどのように調整するかが問題となる。
 さらに,発起設立と募集設立という二つの設立手続に関する規定が設けられているため,株式会社の設立手続は極めて複雑で分かりにくい規定となっている。
 試案では,募集設立に対する利用のニーズが減少していること,会社法制の現代化に当たり規定の簡素化・明瞭化を図るべきであること等の点を踏まえ,募集設立という方法を廃止し,募集設立という方法に一本化することとしている。」

 というのですが,しかし,会社法は,募集設立の方法を存続させました。なぜなのでしょうか?次回です。

上巻と下巻が揃いました。 [体系書 会社法]

「体系書 会社法 下巻」が出来上がって,届きました。上巻・下巻が揃いました。

上巻・下巻が揃った.JPG








会社分割における総社員の同意 下巻 見本 [体系書 会社法]

工程表によれば,「体系書 会社法 下巻」の製本が,昨日終了したはずです。いよいよ発売になります。

下巻の見本シリーズの最終回です。会社分割における持分会社の総社員の同意の要否の表です。

会社分割.jpg

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SA380179.JPG SA380181.JPG

左は,「スピリット オブ フリーダム」と書いてあります。



現物配当と金銭分配請求権の図  [体系書 会社法]

「体系書 会社法 下巻」 見本 その3です。

図も作ったのですが,現物配当と金銭分配請求権のところで,このような図を作りました。
もしも,本試験に出れば,見ててよかったとなるといいのですが。

現物配当の図.jpg

計算書類等の閲覧等 下巻の見本ページ [体系書 会社法]

一昨日に引き続き,「体系書 会社法 下巻」の内容見本です。

計算書類の閲覧等.jpg

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「体系書 会社法 下巻」で作成した表 [体系書 会社法]

 上巻と下巻で合計100近くの表を作成しました。上巻については,いくつか紹介しましたから,今回は,もうすぐ発刊の下巻から紹介します。

 今日は,組織変更からの紹介です。
 この部分については,表だけでなく,本文も読んでおいてもらうといいと思います。その前に,できれば,会社法781条2項⇒779条で条文を読んでおくといいかなと思います。時間があればですが。はしがきに書いた,適用除外規定(文言),適用限定規定(文言)の例の一つです。会社法781条2項の括弧書が2つありますが,最初は,(第2項第2号を除く)とあり,次は,(合同会社に限る)とあります。

組織変更.jpg

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「体系書 会社法 下巻」発刊もうすぐ はしがき [体系書 会社法]

 
はしがき


 本書は,主として司法書士試験受験生のための会社法の体系書である。
 既刊「体系書 会社法 上巻」の続巻として,『第2編 第6章 計算~第10章 清算,第3編 持分会社 第4編 社債,第5編 組織変更,合併,会社分割,株式交換及び株式移転,第6編 外国会社』を納めている。
 下巻を構成する項目については,受験生のみなさんから,とりわけこれらの箇所が,会社法の中でも理解しにくいとか苦手であるという声を聞く。そして,それは,特に,第5編の「合併,会社分割,株式交換及び株式移転」において,顕著である。難解であるゆえんは,これらの組織再編行為について,会社法がその構成として,「共通規定と固有の規定とに整理した」(立案担当者による新・会社法の解説P4)ことと,読替え規定,適用や準用を除外する規定(文言)(限定するものを含む)の存在にあるのではないかと思える。
 そこで,本書では,第5編において,合併,会社分割,株式交換及び株式移転を,それぞれ独立の章とした上で詳細な解説をすることを心がけた。また,よりたやすい理解に資するようにいくつかの図も入れた。執筆にあたって,手続が共通する箇所について,他の頁を参照しなくてもいいように,例えば,合併の場合と同様であるという一言で片づけることなく,繰り返しになるとしても,やむを得ない場合は別として,省略しないように努めた。さらに,適用・準用除外規定や読替え規定についても,理解しにくい部分については,できる限りわかりやすいようにと意識しながら,書きすすめた。他の編についても,可能な限り省略しないことを心がけたつもりである。そのため,上下巻合わせて950頁を超えるものとなった。それでもなおという箇所もあるだろうが,その部分については,皆さんの声を聞きながら,より完成度の高いものへと改訂を重ねていきたいと考えている。
 なお,上巻・下巻を通して,振替株式,振替新株予約権,振替新株予約権付社債,振替社債についても,必要部分について言及し,平成21年の会社法施行規則及び会社計算規則の改正を反映させ,その他,最新の法令等に基づいて記述したことを付け加えておきたい。
 最後に,本書の利用により会社法に強くなった人達が,少しでも早く司法書士試験に合格し,誰からも頼りにされる司法書士として活躍されることを強く願っている。

 2010年5月10日
            

このような図も作った 昨日のつづき [体系書 会社法]

手に取って見ることができないので,紹介するページをとおもってこの数日表や図を探していたのですが,昨日,譲渡制限株式の相続等のところを見ていて,こういう図もつくったなあと思い出したのでご紹介です。文章が途中で次のページに行きますが,次ページに「・・・則は,適用されない(同条2号)。この場合,当該相続人その他の一般承継人は,株主としてとどまることを選択しているからである。」と続いています。


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図.jpg




「体系書 会社法 上巻」の表 その4 [体系書 会社法]

もうひとつ表(ひょう)の紹介をしたいと思います。この表は,譲渡制限株式の株主について,相続その他の一般承継が生じたときに,当該株式会社が,その相続その他の一般承継によって譲渡制限株式を取得した者(相続人等)から自己株式を取得する方法に関する「相続人等からの取得の特則(会社法162条)」と「相続人等に対する売渡しの請求(会社法174条)」を比較するものです。

画像の上でクリックしてもらうと大きくなります。


譲渡制限株式の相続等.jpg

この表は,相続人等に対する売渡しの請求の解説末尾に比較の表として置きました。このように比較して,理解して,記憶にとどめてもらおうと思っています。

「体系書 会社法 上巻」の表 その3 [体系書 会社法]

「体系書 会社法 上巻」の表(ひょう)について,どのようなものがあるか,株式まで(項目だけですが)紹介しましたが,今日は,その続きです。新株予約権から機関までです。

*募集株式と募集新株予約権との比較 *新株予約権の種類(名称) *新株予約権の譲渡方法と対抗要件 *取得条項付株式と取得条項付新株予約権との比較 *証券再発行の手続の比較 *株主総会の招集通知の発送期限の比較 *取締役会設置会社であるかどうかによる不統一行使の手続の違い *株主総会議事録の閲覧・謄写 *役員等の選任決議の方法(http://ueda-m.blog.so-net.ne.jp/2010-04-07 上の表です) *補欠の予選の可否(http://ueda-m.blog.so-net.ne.jp/2010-04-07 下の表です) *役員等の選任の意見陳述権 *株主総会の決議の取消し,決議の無効の確認,決議の不存在の確認の比較 *役員等の解任決議の要件 *株主の監督是正権の拡充・強化 *取締役会の招集 *株主総会の決議の省略と取締役会の決議の省略 *取締役会議事録の閲覧・謄写 *社外取締役 *通常の取締役会と特別取締役による取締役会の比較 *会計参与の報告の相手方 *監査役の権限の限定の可否 *監査役会議事録の閲覧・謄写 *取締役会と監査役会の比較 *委員会設置会社における取締役会の招集 *委員会議事録の閲覧・謄写 *監査役又は監査委員の同意の要否(3か所) *株主の違法行為差止請求権の要件


「体系書 会社法 上巻」の表 その2 [体系書 会社法]

「体系書 会社法」では,上巻と下巻あわせて100近くの表を作成したと先日書きましたが(http://ueda-m.blog.so-net.ne.jp/2010-04-07),他にどのようなものがあるかという質問をいただきましたので,その項目を紹介します。
 ゲラ前の完成版が手もとにありますので,それを見ながら順番にみていこうと思います。抜けないようにしなくてはですね。

*公開会社と非公開会社の比較 (これは,1頁全部です) *支配人の選任の要件 (株式会社と持分会社及び株式会社で取締役会設置会社とそれ以外) *事業の譲渡の場合の譲渡会社の競業禁止 *事業の譲渡の場合の譲受会社の弁済責任 *発起設立と募集設立の適用条文 *発行可能株式総数を定款に定めていないときの発起設立と募集設立の比較 *委員会設置会社以外の株式会社における設立時代表取締役について取締役会設置会社とそれ以外 *弁護士等の証明者の不足額てん補責任の性質の比較 *単独株主権・少数株主権 *単一株式発行会社における譲渡制限株式,取得条項付株式,取得請求権付株式の設定・変更・廃止の要件 *定款変更の手続の特則として,譲渡制限株式等の設定等につき単一株式発行会社と種類株式発行会社に分けての比較 *株主名簿の閲覧・謄写等の請求権者と要件 *株式の譲渡の方法と対抗要件(株券発行会社と不発行会社,不発行会社で振替株式以外と振替株式) *譲渡制限株式の譲渡の場合の承認機関(定款に承認機関の定めがない場合) *譲渡制限株式の相続人等からの取得の特則と相続人等に対する売渡しの請求の比較 *株式の消却,株式の併合,株式の分割,株式無償割当ての比較 *募集株式の発行の要件(株主割当て以外・株主割当て,非公開会社・公開会社)


以上,第1編 会社法総論から第2編株式会社株式までです。







「体系書 会社法」の表作成 [体系書 会社法]

 「体系書 会社法」で,上巻と下巻で合わせて100近くの表を作りました。私をよく知る人は,よく作ったねというか,それとも,どうしたのですかとどちらをいうのでしょう。決して,嫌いではありません。表は,役に立つものだと思っています。しかし,なにもかも表,表,表というのが駄目なんです。無理やり作れば,うそが混じるおそれがあってこわいのです。アバウトな表ってのが駄目ですね。それから,説明抜きの表がだめです。それらがオールキャストででてくるのであれば,それはもう,この表見てくださいと質問されたって,それは,困ります。

 さて,そんな私の作った表です。まとめの表として作成しましたので,本文を読んでもらって整理として役立ててもらえればうれしいです。小さいものから中くらいのもの,なかには1ページを占めるものがあります。
今回は,小さいものと中くらいのものをサンプルをおみせしたいと思います。トライしてみましたが,すこしみえにくいでしょうか?1メガまででしたか,サイズ変更を繰り返したのですが,難しいですね(自分だけかもしれないけど)。上は薄く,下は濃く見えますね。下は,スキャンしたあとの編集の段階で,修正のボタンを押したらこんなになってしまいました。「修行が足りぬ」ですね。実際の本は,もちろんこんなことはありません。

画像の上でクリックしてもらうと少し大きくなります。

補欠の予選○.gif


取締役会.gif







「体系書 会社法 上巻」はしがき [体系書 会社法]

はしがき


 本書は,主として司法書士試験受験生のための会社法の体系書である。
近年,司法書士試験の会社法で合格点をとれない,会社法が受験勉強の壁となって立ち塞がっているという受験生の声を耳にするようになった。会社法がわからなければ,午前の部の基準点に達しないだけでなく,午後の部の商業登記法にも影響し,結局興味がもてないということにもなる。これは,会社法をまとめ的なもの,あるいは概説書的なものだけで暗記しようとしているからではないだろうか。会社法だけでなく,ほかの試験科目についても同じことが言えるが,各制度の理解を前提とする体系的理解がなければ,難易度の高い試験においては,到底太刀打ちできない。しかし,これに十分に応える司法書士試験受験用の会社法がなかなか見当たらないという。そこで,本書「体系書 会社法」をYOUR PROJECTの司法書士試験体系書シリーズ第1弾として,発刊することとした。
 「会社法」が公布・施行されてから,早4年が経過しようとしている。当時,「会社法」は,これまでの日本の会社法制の体系的かつ抜本的見直しをしたものであって,昭和25年の商法の改正以来のパラダイム的転換であるという指摘がされていた。それゆえに,限られた文献の中でのスムーズな理解は,なかなかに困難なことであった。しかし,月日が経過し,その間に,学者,実務家による体系書や注釈書も次々に発刊されるようになり,私たちは,これらからたくさんのことを学ぶことができるようになって,会社法についての十分な理解が可能となった(まだ完結していないものもあるが)。私は,時間の許すかぎり,これらの文献に目を通し,理解して,これを反映させるように努めた。また,比較を中心に表をできるだけたくさん作成した。整理のために見て,記憶として定着するように大いに役立てて欲しい。
 司法書士試験受験用の参考書としては,効率的な学習のために,概説書的なものや,まとめ的なものも必要であり,私も,このようなものの必要性を否定するものではないが,学習の早い段階で,ある程度詳細な体系書の読込みが必要ではないかと考えている。これは,最近の司法書士試験の会社法の問題を解いてみるとすぐに理解できることであろう。司法書士試験の会社法は,択一試験として出題され,また,記述式(商業登記書式)の基礎・前提となるものとして出題されるもので,司法書士になるための試験として,手続的,技術的なものを含めて,かなり細かいところ,深いところが出題されている。時間はかかるかもしれないが,結局において,本書のような体系書に取り組むことが司法書士試験合格への近道となり,また,合格後本職となってから業務を行っていく上での自信の源となることと思う。
 本書には,『第1編 会社法総論,第2編 株式会社 第1章 株式会社総論~第5章 機関』までを,近刊の下巻には,『第2編 第6章 計算~第10章 清算,第3編 持分会社,第4編 社債,第5編 組織変更・合併・会社分割・株式交換・株式移転,第6編 外国会社』を納める。振替株式,振替新株予約権,振替新株予約権付社債,振替社債についても,必要部分について言及し,平成21年の会社法施行規則及び会社計算規則の改正を反映させ,その他,最新の法令等に基づいて記述した。繰り返し読んで理解を深め,司法書士試験に合格して,会社法に強い司法書士になってほしい。本書が,そのために役立つことを強く願っている。

2010年3月8日



「体系書 会社法 上巻」は,A5版で,本文503ページ 索引付き です。


「体系書 会社法 上巻」表紙カバー [体系書 会社法]

                   「体系書 会社法 上巻」カバー.jpg

PCによって,あるいはWindowsかMacかによって色の見え方が異なるかもしれないと言われました。私のPC3台は,すべて青く見えるのですが,実際は,もう少し,バイオレットあるいはパープルです。Macではどう見えますか?

「体系書 会社法 上巻」は,A5版で,本文503ページ 索引付き です。

単一株式発行会社とか特別な普通決議とか [体系書 会社法]

 どこのカテゴリーにしようかと迷いましたが,結局,「体系書 会社法」としました。

 用語というかネーミングの問題です。
 会社法は,第2条あるいは各本条に定義規定を置いているので,体系書を書く場合には,とても便利です。これをどこかで書いておいて,それを前提にして書き進んでいけばいい。読む側は,定義規定をしっかり読んで理解しておくと,ずいぶんと読みやすくなります(その前に慣れが必要かもしれません)。しかし,すべてがそろっているわけではないし,定義付けとは言わないけれど,用語としてどこかに書いておいてくれるといいんだけどというのがありますね。例えば,その対立概念です。公開会社に対して・・・そりゃ公開会社でない(株式)会社といえばいいのでしょうが,取締役会設置会社に対して,取締役会設置会社でない株式会社・・・。そこで,学者,実務家等々,それぞれ用語を作り出すことになります。どれが支配的になるか・・・。数年前に会社法を書くとき迷いましたね。いちばんは,取締役会設置会社でない株式会社。不がいいのか,非がいいのか,いずれかとしても,どこにその漢字をいれるのか。今どれが支配的になったのでしょうか。非が結構多いようにも思いますが,どうでしょうか。私は,いずれもどうもしっくりこないので,まわりくどいようだけど,取締役会設置会社以外の株式会社あるいは取締役会設置会社でない会社(株式会社)です。江頭先生は,取締役会設置会社以外の会社ですね。公開会社に対する非公開会社でいいだろうと思うのですが,それでも公開会社でない株式会社とか,全株式譲渡制限会社(江頭先生はこれです)というのもあります。

 用語の問題と言えば,債権者保護手続・債権者異議手続の問題があります。債権者保護手続とずっと使われてきたはずですが,会社法の条文見出しに「債権者の異議」と入ったからでしょうか,債権者異議手続とする文献も見かけるようになりました(江頭先生がそうですが)。前田先生は,債権者保護手続です。松井判事(商業登記ハンドブック)も,債権者保護手続です。しかし,司法書士試験では,午前の部,18年29問では,債権者保護手続,21年33問では債権者の異議手続でした。

 さて,標題の件になかなかたどりつかなかったのですが・・・。種類株式発行会社でない株式会社がつまり単一株式発行会社です。これは,松井判事の商業登記ハンドブックで初めて目にして,これはいいと思ったので,使わせてもらってます。種類株式発行会社でない・・・まわりくどい・・・ほかにもまわりくどいものはありますが・・・。特別な普通決議もなかなかいいなということで使わせてもらっています。株主総会だけでなく,種類株主総会でも特別な普通決議が使われます。気に入ったネーミングが一般的になればいいなと書きながら思います。

 今,思いついたことですが,これって,まわりくどいよねっていうのを集めてみませんか。他の法令でもいいのです。ためておいて,私が,集まりましたかっていつかこのブログででも声をかけてみましょうか。


持分会社における競業禁止及び利益相反取引の制限 [体系書 会社法]

 持分会社における業務執行社員の競業禁止と利益相反取引の制限 株式会社の取締役・執行役との比較

 株式会社の取締役及び執行役における競業禁止及び利益相反取引の規制と持分会社の業務執行社員における競業禁止及び利益相反取引の規制を比較しましょう。

株式会社の取締役及び執行役の競業も利益相反取引も,いずれもその承認については,取締役会設置会社でない株式会社では株主総会の承認,取締役会設置会社では取締役会の承認で,取締役・執行役が適法にすることができるようになる要件は同じです(会社法356条1項,365条1項,419条2項)。

 ところが,持分会社では,競業と利益相反取引で要件が異なります。株式会社の場合と異なりそもそも条文が分かれていますね。会社法594条と会社法595条です。競業は,当該社員以外の全員の承認(ただし,定款で別段の定めをすることができる),利益相反取引は,当該社員以外の社員の過半数の承認(これも,定款で別段の定めをすることができる)とされています。前者は,厳しいですね。持分会社は,少数の緊密な信頼関係を有する社員からなる会社だからと言われます。競業ということは,会社に不利益を及ぼす可能性が,きわめて高いわけであって,社員間の信頼関係を前提とする持分会社では,1人でも反対があってはならないという建前です(もちろん定款自治は認めるとして)。これに対して,利益相反取引は,必ずしも,不利益とは限らない。利益である場合もある。にもかかわらず,他の社員の全員の承認を要するとすると,持分会社にとって利益である取引も不可能となるおそれがあって,会社にとって得ることのできる利益を失うというわけです。

 さて,競業禁止については,株式会社と持分会社とでもう一つ異なる点があります。どこでしょう。これは,会社法594条1項2号をしっかりと読んでもらうことにします。

資本の原則 つづき [体系書 会社法]

 江頭先生は,会社法コンメンタール1のP307に,いわゆる「資本充実の原則」の意義という標題のもとに,次のように書かれています。

 資本充実の原則とは,資本金(払込剰余金を含む。鈴木=竹内26頁)の額に相当する財産が出資者から確実に拠出されることを要求するものであり,それは,会社債権者・株主双方の利益の保護を目的とするものである(新注会(2)95頁 [上柳])。ところが,最近,学説の一部に,・・・中略・・・何ら会社債権者を害しない(「資本充実の原則」は,会社債権者の保護と無関係の制度である)と主張するものがある・・・中略・・・しかし,資本充実の原則が会社債権者の保護と無関係であるとの主張は,次の2点において誤りである。
 第1に,ある金額(財産)が出資された旨のアナウンスがされることの会社債権者に及ぼす影響は,決して小さくない(大隅=今井・上259頁)。会社が危機の状況における募集株式の発行等を考えればこのことは明らかであり,例えば,金融危機に際し,政府が金融機関に対し1兆円の資本注入を行ったと称して,真実は1000億円しか出資しなかったとしたら,何が起こるであろうか。また,「見せ金増資」は,通常,会社債権者を欺く目的で行われる。
 第2に,出資に際し貸借対照表の資産の部に虚偽の計数が計上されると,たしかにそれだけでは株主への分配可能額が増えるわけではないが,その後に資本金・準備金の減少手続をとれば,実財産を社外流出させ会社債権者への引当財産を実質的に減少させることが可能になる(江頭憲治郎「ストック・オプションの費用計上と商法」落合還暦58頁注(16))。

「株式会社法」では,上記第1の部分について要約して書かれている(第3版P35)。

資本の原則 [体系書 会社法]

 会社法が成立して,夏が終わるころに,会社法の解説書を書き始めた人たちの中には,株式会社の総論(総論がそもそもないものは別にして)の何頁目かで,つまり,株式会社の資本の制度のところで,どのように書こうかと迷った人が多かったのではないかと思います。私は,その頃,数日間,朝起きるといつもすぐにそのことが頭に浮かんできていました。それは,立案担当者が,商事法務研究に「会社法における債権者保護」として,衝撃的な(少し,オーバーかな)論文を寄せた時期で,私は,これを読んだからです(商事法務No.1746,1747)。大学時代に教授よりしっかりと資本の原則の意味及びその重要性について教え込まれていた身にとって,困ったことになったなというのが正直なところでした。ある程度のことは他の情報で推測はできたはずなのですが・・・。私は,すでに資本の制度については,書き終えていました。書き換えるべきかどうか・・・ということでした。
 近刊「体系書 会社法」のはしがきに次のように書いたとき,他のたくさんの論点のことだけでなく,3年半くらい前に資本の制度のところで迷ってしまったことを思い出し,その後,江頭先生の「株式会社法」を読み,さらに,その後「会社法コンメンタール1」江頭先生執筆部分を読んだときにほっとしたことを思い出しました。

そのはしがきの一部を抜き出してみます。
 「「会社法」が公布・施行されてから,早4年が経過しようとしている。当時,「会社法」は,これまでの日本の会社法制の体系的かつ抜本的見直しをしたものであって,昭和25年の商法の改正以来のパラダイム的転換であるという指摘がされていた。それゆえに,限られた文献の中でのスムーズな理解は,なかなかに困難なことであった。しかし,月日が経過し,その間に,学者,実務家による体系書や注釈書も次々に発刊されるようになり,私たちは,これらからたくさんのことを学ぶことができるようになって,会社法についての十分な理解が可能となった(まだ完結していないものもあるが)。私は,時間の許すかぎり,これらの文献に目を通し,理解して,これを反映させるように努めた。」

 江頭先生の会社法コンメンタールからの紹介は明日ということにします。

六法について [体系書 会社法]

 4年半前にも,相当,会社法の条文を繰り返し繰り返し読んだのですが,今回,「体系書 会社法」を書きながら,それ以上に読みました(見たのではなくて読んだのですが)。2009年度版を2冊(模範小六法と登記小六法)。いずれもかなり汚れました。しかし,途中から会社法と施行規則を模範小六法にして,条文の位置を覚えていったため,登記小六法は,計算規則にとどまることになり,圧倒的に,模範小六法の方が汚れが甚だしいものとなりました。条文の位置を覚えるというのは,できるだけ速く,目的の条文に到達するためです。

 六法はどんどん汚しましょう,とことあるごとに言ってきました。自分の六法なのだから,思い切り汚しましょうと。書き込んでもいい。もちろん,書き込まなくても,使えば六法は汚れます。六法だけでなく,書籍全般のことでしょうか。いくら丁寧に使っても,使い込んでいれば,わかります。きれいな六法は,読んでないな(その前に見てないな),使ってないな,という高度の推定力が働く・・・。今のうちにしっかり読んで使って慣れましょう。今から,ずっとずっと付き合うのだから,いかに速く目的の条文に到達するかによってプロの実力が測れます。そのためにはしっかりと今のうちから六法を使い込みましょう。

 模範小六法の参照条文も,赤線をひきながら,よく読んで,汚しました。かなり汚れてしまいました。しかし,そうしているうちに,2010年版の各種六法が出て,久しぶりに今度は,模範六法に切り替えました。数カ月経ちましたが,会社法と民法の辺りが汚れていて,一般社団法人・一般財団法人と民訴が少し・・・の状態です。持ち運びしないからということで小から変更しました。一年毎に覚えた条文の位置がご破算となることがつらいところです。

 六法は,実は,いろいろな種類ものが本棚に入ってます。六法全書(有斐閣)も入っていて,たまに使いますが,六法全書にもないこともあって,ネットで法令データ提供システムを使うことが多くなりました。移動するときは,六法を持ち歩くのは大変なので,ipod touchに物書堂の模範六法09を去年入れました。大辞林のとなりに入っていて,両方ともなかなか役に立ってくれています。

 でも,世の中広くてなのかどうか,本当かどうかわかりませんが,六法は,受験勉強に必要ないと言っている人達がいるということを聞いたことがありますが,本当にいるとして,言っている人達は,六法は持ってないのでしょうか。どうなのでしょう。

合同会社の社員の責任の性質 [体系書 会社法]

 「体系書 会社法 下巻」を校正しながら,再び,心が揺れました。合同会社の社員の責任について,間接有限責任であると書いた部分に来たときです。最初書いたときから,その後,さらに別の何冊かの会社法の体系書を読み,そのうちの比較的好きな本の2冊について,そこに「間接」の文字がないことに気づいていたからです。
合同会社の社員は,有限責任であることは問題ありません。会社法576条4項ですね。では,間接責任なのか?条文を探してもない。逆に,会社法580条1項は,社員は,「次に掲げる場合には,連帯して,持分会社の債務を弁済する責任を負う。」として,会社債権者に対する直接責任が規定され,合同会社の社員について適用排除規定がありません。
 しかし,心が揺れましたが,再び,前田先生の本と立案担当者の解説を読んで,合同会社の社員の責任は,間接有限責任であると,そのままで,All rightとしました(合資会社・合資会社との比較において,間接有限責任という言葉を何度も使っています)。

 まず,前田先生からです。「会社法入門第12版(2009年12月10日発行)」P10~P11。
「株式会社および合同会社においては,社員―株式会社の場合には株主―は間接有限責任を負うにすぎない。株主・社員は会社に対して一定の限度で出資義務を負うだけで,会社債権者に対しては直接の責任を負わない。
 このことは,株主については,その有する株式の引受価額を限度とすると規定されている(104条)ことから明らかであり,かつ,会社に対する出資義務も,株主になる前に履行しなければならないので(これを「全額払込制」という。〔19〕),株主になった時点では会社に対する出資義務も履行ずみであり,債権者に直接に弁済の責任を負う余地がないことになる。合同会社の社員については,株主についてのような直接的な規定はないが,その社員となろうとする者については,定款の作成後,合同会社の設立の登記をする時までにその出資にかかる金銭の全額を払い込み,またはその出資にかかる金銭以外の財産(現物出資財産)の全部の給付をしなければならないと規定されている(578条本文)ことから導かれる。」

 「立案担当者による新・会社法の解説」P157です。「体系書 会社法 下巻」では,この部分を引用しました。

 「合同会社については,社員の間接有限責任性を確保するため,社員の責任を出資の価額に限定するとともに,設立時または入社時に定款で定めた出資の全部を履行させること(578条,604条3項)とし,会社債権者に対して直接責任を負わないような措置を講じている。これは,債権者が社員に直接責任を追及することがないようにすることにより,合資会社等よりも広く出資を募ることを可能にするとともに,債権者も会社財産のみをその責任財産として取り扱い,かつ行動すれば足りるようにするための措置である」。

清算株式会社に適用される規定 [体系書 会社法]

「体系書 会社法 下巻」(近刊,現在校正中)からです。司法書士試験受験生のためのCheck Test 会社法163

 これまで,営業活動を前提とするかしないかによって,前者について清算中の株式会社に認められないとされてきたものが多いが,会社法は,これらのうち多くのものについて,清算株式会社にも認められることを前提とする規定を置いている。例えば,募集株式及び募集社債の発行(会社法487条2項1号,489条6項5号),支配人の選任(会社法489条6項3号),支店の設置(同4号),新株予約権の発行(会社法487条2項1号等)である。立案担当者の説明によれば,株式については,例えば親会社等が子会社を救済する観点から,あえて劣後する資金提供者となって清算を円滑に終了させるということが考えられ,社債についても,清算過程で必要となる現金の調達のために発行するということが考えられるとされる(商事法務№1747 P17)。

「体系書 会社法」を書き終えてその1 [体系書 会社法]

これも,mixiから編集の上・・・。

 司法書士試験受験用の体系書を書くときに,少々困るのは,自分の考え方が判例や先例と異なるときです。私には,かなりあります。司法書士試験は,論文試験はないのだから(学説問題(推論問題?)用の場合は例外として),必ず一つの正解があるのだから,そして,出題者が誰であるかを考えたとき,その正解は,争いがあれば,先例,判例,通説,多数説の順序で答えを出さなければならないことになります。 これは,判例の趣旨に照らしとか通説によればという文言がなくても,暗黙の了解事項とされていることであると思われます(先例の趣旨に照らしというのは見たことないですね。あってもいいと思うのですが・・・どうでしょう??)。  司法書士試験の受験勉強なのだから,自分の考え方を押し付けることができません。しかし,自分が支持しない,納得できない判例や先例の,その理由を書かなければならないときは,ほんとに困ってしまいます。しかし,長い間,そんなん理由になるのかと思うことも「・・・・だからである」と書いてきました。
 数年前から,ときどき,・・・・がその理由であるとか,・・・が理由とされているとか,書くようになりました。今回の体系書シリーズの「会社法」では,何箇所か出てくるはずです。前者の場合には納得している場合もあるのですが,後者では納得してないぞ,わかりにくいぞと言う意味合いが濃いのです。会社法では,立法論的批判を書きたいところが,少なからずありますが,司法書士試験受験用ですから,自粛です。授業では,よく言ってきましたけどね。会社法も多いのですが,不動産登記法はもっと多いですね。
 不動産登記にしろ,商業登記にしろ,手続では,どちらかに決めてしまえば,それでいいじゃないか,争うまでもないではないかと思うものがたくさんあります。このことは,また機会があったら。

会社法440条2項 [体系書 会社法]

mixiからコピーの上一部分追加です。

 会社法440条1項 「株式会社は,法務省令で定めるところにより,定時株主総会の終結後遅滞なく,貸借対照表(大会社にあっては,貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。」とあって,2項は,・・・・その公告方法が・・・貸借対照表の要旨を公告することで足りるとされていますが,2項に損益計算書がありません。
 ということは,損益計算書においては,要旨の公告は×なのか。そんなことはないはずですよね。貸借対照表と損益計算書で,そのような区別をする合理的理由は見当たりません(要旨の公告を認める趣旨からして)・・・。会社法は,普通,括弧書を入れて,以下本条において同じとか,以下本章において同じとか,きちんきちんとしていますよね。ここは,どうして・・・?。
だれか,書いているかもしれませんね。

索引について [体系書 会社法]

索引の確認作業を朝からずっとしています。地道という単語がありますね。ほとんど使ったことのない単語ですが,地道な努力をしているというのはこれだねという感じです(使い方いいのかな)。
索引については,mixiに前に書いたのですが,再録です。

高校時代の国語の先生が,授業中に言われた言葉が何十年も心に残っています。「君たちの中には,将来,本を書くことになる人間がいるだろうが,小説のようなものは別にして,索引を必ず作ること,索引のないものは読むに値しない。読むに値するかどうかは,索引があるかどうかみたらわかる。」極論ですよね。索引のない本がすべて読むに値しないということはないということはもちろんです。索引をつけることができないもの,及び索引をつける必要がないものは,小説でなくてもあるのですから。しかし,私にとっては,先生の言葉は重い。私の書くものは,全部ではないけれど,体系書については,索引をつけることができるものだし,つけるべきものだと言えます。20数年前に私が始めて書いたのは,民法の本でしたが,索引をつけることはできませんでした。先生の言葉が頭の中に響くのですが,つけることができませんでした。そんな時間は与えられていませんでした(その後に私の書く本には,できるだけ索引をつけるようになりました。でも,問題集にはなかなかつけれませんね。つける必要がないのか,つけることができないのか,課題です)。

しかし,索引は,難しいです。そのときの心の状態によります。詳しくするか,簡単にするかという問題です。詳しければ詳しいほどいいのかもしれませんが,必ずしもそうではないと 言われることがあります。かえって探しにくい。見る気がしないと言われることもあります。簡単すぎると「ないじゃないか」と言われますね。ほどほどがいのかもしれませんが,大体において,たくさん書きたい方ですから,何から何まで入れたいというときが多いのです。そして,収拾がつかなくなることに。簡単にしよう簡単にしようと,今,心がけています。


索引のことを書こうと思って,昨年,ネットで先生を検索しました。その後,大学の教授になられたようですが,もう 亡くなられておられました。残念です。作家の重松清さんは,高校の後輩(私がずっと年上ですが・・・面識はありません)になるのですが(中学校もですが),現代国語か古文かわかりませんが,彼は,先生の授業を受けられたのではないか・・・,どうでしょうか。もう,退職されていたかな。また,そのうち,また,先生のことを書くことにします。

「体系書 会社法」 その1 [体系書 会社法]

mixiの日記帳から,一部,修正の上,引越しです(引越しは正確ではないですね。コピーでしょうか。mixi消すわけではないですからね)。

体系書シリーズ「体系書 会社法」の最終校正がどんどん来ています。もっと早く発刊する予定でしたが,種々の理由で遅れてしまいました。
その最終校正の中で,本田先生より,「株式会社の承認のない譲渡制限株式の譲渡の効力についての記述がないですよ。」との指摘がありました。どうしてかな・・・どうしてかな・・・。思い出したのでした。どうしようかと迷ったことを。この論点は,かつて,大問題であり,最高裁の判決もあり(最判S48.6.15),確か,司法書士試験でも穴埋め問題として出題されたこともあるのでした。しかし,平成2年の商法改正により,絶対説(当事者間においても無効とする見解)はその根拠を失ったとされ(前田会社法入門),会社法のもとでも,はっきりと株式取得者からの承認請求を認めている以上,絶対説は,もはや,ありえない。当事者間では有効であることを否定する見解はないだろうと思ったのです。と考えているうちにそのままになったということなのですが,今回,書いているときも,もう一度調べたのですが,江頭「株式会社法第2版」P229を読んでいるとき,会社法のもとでも,ひょっとしたら絶対説もあるかもしれないと思いました。そこで,「会社法」では,次のように簡単ですが,書き加えました。
5-2 株式会社の承認を得ない譲渡制限株式の譲渡の効力
 株式会社の承認を得ないで行われた譲渡制限株式の譲渡の効力については,絶対説と相対説の争いがある。絶対説は,譲渡当事者間でも無効であるとするが,譲渡当事者間では有効であるとする相対説が判例である(最判S48.6.15)。株式取得者から取得の承認請求をすることができるとする規定(会社法137条),は当事者間での有効性を当然の前提とする。
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