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合同会社の社員の責任の性質 [体系書 会社法]

 「体系書 会社法 下巻」を校正しながら,再び,心が揺れました。合同会社の社員の責任について,間接有限責任であると書いた部分に来たときです。最初書いたときから,その後,さらに別の何冊かの会社法の体系書を読み,そのうちの比較的好きな本の2冊について,そこに「間接」の文字がないことに気づいていたからです。
合同会社の社員は,有限責任であることは問題ありません。会社法576条4項ですね。では,間接責任なのか?条文を探してもない。逆に,会社法580条1項は,社員は,「次に掲げる場合には,連帯して,持分会社の債務を弁済する責任を負う。」として,会社債権者に対する直接責任が規定され,合同会社の社員について適用排除規定がありません。
 しかし,心が揺れましたが,再び,前田先生の本と立案担当者の解説を読んで,合同会社の社員の責任は,間接有限責任であると,そのままで,All rightとしました(合資会社・合資会社との比較において,間接有限責任という言葉を何度も使っています)。

 まず,前田先生からです。「会社法入門第12版(2009年12月10日発行)」P10~P11。
「株式会社および合同会社においては,社員―株式会社の場合には株主―は間接有限責任を負うにすぎない。株主・社員は会社に対して一定の限度で出資義務を負うだけで,会社債権者に対しては直接の責任を負わない。
 このことは,株主については,その有する株式の引受価額を限度とすると規定されている(104条)ことから明らかであり,かつ,会社に対する出資義務も,株主になる前に履行しなければならないので(これを「全額払込制」という。〔19〕),株主になった時点では会社に対する出資義務も履行ずみであり,債権者に直接に弁済の責任を負う余地がないことになる。合同会社の社員については,株主についてのような直接的な規定はないが,その社員となろうとする者については,定款の作成後,合同会社の設立の登記をする時までにその出資にかかる金銭の全額を払い込み,またはその出資にかかる金銭以外の財産(現物出資財産)の全部の給付をしなければならないと規定されている(578条本文)ことから導かれる。」

 「立案担当者による新・会社法の解説」P157です。「体系書 会社法 下巻」では,この部分を引用しました。

 「合同会社については,社員の間接有限責任性を確保するため,社員の責任を出資の価額に限定するとともに,設立時または入社時に定款で定めた出資の全部を履行させること(578条,604条3項)とし,会社債権者に対して直接責任を負わないような措置を講じている。これは,債権者が社員に直接責任を追及することがないようにすることにより,合資会社等よりも広く出資を募ることを可能にするとともに,債権者も会社財産のみをその責任財産として取り扱い,かつ行動すれば足りるようにするための措置である」。

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