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資本の原則 [体系書 会社法]

 会社法が成立して,夏が終わるころに,会社法の解説書を書き始めた人たちの中には,株式会社の総論(総論がそもそもないものは別にして)の何頁目かで,つまり,株式会社の資本の制度のところで,どのように書こうかと迷った人が多かったのではないかと思います。私は,その頃,数日間,朝起きるといつもすぐにそのことが頭に浮かんできていました。それは,立案担当者が,商事法務研究に「会社法における債権者保護」として,衝撃的な(少し,オーバーかな)論文を寄せた時期で,私は,これを読んだからです(商事法務No.1746,1747)。大学時代に教授よりしっかりと資本の原則の意味及びその重要性について教え込まれていた身にとって,困ったことになったなというのが正直なところでした。ある程度のことは他の情報で推測はできたはずなのですが・・・。私は,すでに資本の制度については,書き終えていました。書き換えるべきかどうか・・・ということでした。
 近刊「体系書 会社法」のはしがきに次のように書いたとき,他のたくさんの論点のことだけでなく,3年半くらい前に資本の制度のところで迷ってしまったことを思い出し,その後,江頭先生の「株式会社法」を読み,さらに,その後「会社法コンメンタール1」江頭先生執筆部分を読んだときにほっとしたことを思い出しました。

そのはしがきの一部を抜き出してみます。
 「「会社法」が公布・施行されてから,早4年が経過しようとしている。当時,「会社法」は,これまでの日本の会社法制の体系的かつ抜本的見直しをしたものであって,昭和25年の商法の改正以来のパラダイム的転換であるという指摘がされていた。それゆえに,限られた文献の中でのスムーズな理解は,なかなかに困難なことであった。しかし,月日が経過し,その間に,学者,実務家による体系書や注釈書も次々に発刊されるようになり,私たちは,これらからたくさんのことを学ぶことができるようになって,会社法についての十分な理解が可能となった(まだ完結していないものもあるが)。私は,時間の許すかぎり,これらの文献に目を通し,理解して,これを反映させるように努めた。」

 江頭先生の会社法コンメンタールからの紹介は明日ということにします。

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