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定時株主総会の季節 その6 [会社法いろいろ]

 電子投票の重複ですが,これはありそうです。簡単にできますからね。会社側にとってはうれしいことではないと思いますが。株主総会の招集通知を発して,株主総会が開催される前に,不祥事が起こった場合等,投票を変更したくなります(役員改選のときは特にそうです)。
書面投票はどうでしょうか。書面投票が重複する場合がそもそもあるのかです。ないと思って,「定時株主総会の季節 その2」http://bit.ly/dymdqs では,最初,ないだろうと書きました。どうしてかというと,はがき(議決権行使書面)が1枚しか入っていないからです。しかし,その後,その部分を書き換えました。

 というのは,会社法施行規則63条3号ヘを改めてきちんと読んだからです(読みにくいというか読むのが面倒)。みんなで読めばこわくない・・・面倒でない??

 ヘ 一の株主が同一の議案につき次に掲げる場合の区分に応じ、次に定める規定により重複して議決権を行使した場合において、当該同一の議案に対する議決権の行使の内容が異なるものであるときにおける当該株主の議決権の行使の取扱いに関する事項を定めるとき(次号に規定する場合を除く。)は、その事項
(1) 法第298条第1項第3号に掲げる事項を定めた場合 法第311条第1項
(2) 法第298条第1項第4号に掲げる事項を定めた場合 法第312条第1項

 会社法298条1項は,株主総会を招集する場合に決定すべき事項を定めていますが,その3号というのは,「株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは,その旨」書面投票です。4号は,「株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは,その旨」電子投票です。それで,会社法311条第1項というのは,「書面による議決権の行使は,議決権行使書面に必要な事項を記載し,法務省令で定める時までに当該記載をした議決権行使書面を株式会社に提出して行う。」,会社法312条第1項というのは,「電磁的方法による議決権の行使は,政令で定めるところにより,株式会社の承諾を得て,法務省令で差定める時までに議決権行使書面に記載すべき事項を,電磁的方法により当該株式会社に提供して行う。」

読むのが面倒だったかもしれませんが,つまり,株主が重複して書面による議決権を行使した場合,及び株主が重複して電磁的方法による議決権の行使をした場合について,株主が書面による議決権の行使と電磁的方法による議決権の行使をした場合についてと同様に,その取扱いに関する事項を定めてそれを議決権行使書面か招集通知に記しておくことができることとしているわけです。つまり,それぞれ招集者が定めることができるのだよというわけです。
会社法施行規則は,書面投票が重複して行われることを想定しているのです。普通はないと思うのですが・・・。

 さて,では,手許にある3社の招集通知あるいは議決権行使書面は,何か書いてあるでしょうか。

甲株式会社
インターネットによって,複数回,議決権を行使された場合は,最後に行われた行使を有効として取り扱わせていただきます。
書面投票を重複して行使した場合については,記載がありません。

乙株式会社
インターネットによって,複数回数,議決権行使をされた場合は,最後に行使されたものを有効な議決権行使として取り扱わせていただきます。
書面投票を重複して行使した場合については,記載がありません。

丙株式会社
インターネットにより2回以上議決権を行使された場合は,最後に行われたものを有効な議決権行使として取り扱わせていただきます。
書面投票を重複して行使した場合については,記載がありません。

いずれも,同じですね。

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真弓です。仕事場の庭にあります。

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