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組織再編行為の当事会社のネーミング [会社法いろいろ]

まず,合併からです(括弧内は定義付けがされているところです)。吸収合併消滅株式会社(会社法749条1項2号),吸収合併消滅持分会社(同),吸収合併存続株式会社(同1号),吸収合併存続持分会社(会社法751条1項1号),新設合併消滅株式会社(会社法753条1項6号),新設合併消滅持分会社(同),新設合併設立株式会社(同2号),新設合併設立持分会社(同)です。もちろん,吸収合併消滅会社とか吸収合併存続会社という概念設定もされていますが,ここでは省略します。

会社分割です。吸収分割株式会社(会社法758条2号),吸収分割合同会社(会社法793条2項),吸収分割承継株式会社(会社法758条1号),吸収分割承継持分会社(会社法760条1号),新設分割株式会社(会社法763条5号),新設分割合同会社(会社法813条2項),新設分割設立株式会社(会社法763条1号),新設分割設立持分会社(会社法765条1項1号)です。吸収合併消滅持分会社はありますが,吸収分割持分会社新設分割持分会社は規定がありません(用語として使えない,合名会社,合資会社まで入ってしまうから)。新設分割設立持分会社はありますね。どうしてかは,当事会社がきちんと理解できていれば,わかると思います。

株式交換・株式移転です。ここは,株式交換と株式移転を分けましょう。まず,株式交換です。株式交換完全親株式会社(会社法768条1項1号),株式交換完全親合同会社(会社法770条1項1号),株式交換完全子会社(会社法768条1項1号)です。株式交換完全子会社となっていて,株式交換完全子持分会社の概念設定はもちろんのこと,株式交換完全子株式会社というのもありません。株式交換とは何かがわかっていれば,前者はありえないし,後者は,わざわざ株式会社にするまでもないということになります。
株式移転はどうか。株式移転設立完全親会社(会社法773条1項1号),株式移転完全子会社(会社法773条1項5号)です。株式会社だけだから,あえて株式移転設立完全親株式会社,株式移転完全子株式会社という必要はないからですね。

さて,定義付けはないのですが,会社法804条3項に株式移転設立完全親株式会社という語句があるのです。何か意味があるのか,ここでは必要であるのか,誰かが書いているかもしれませんね。もし,誰かご存じであれば,教えてください。「体系書 会社法 下巻」の校正中なのですが,どうしようと迷っているところです。株式等とつながるから修辞上の問題でしょうか?

条文は,打ち間違いをしているかもしれません。また,確認しますが,気が付いたら教えてください。

         オゴオリザクラ

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