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合併における株主総会の特殊決議 [会社法いろいろ]

 合併において種類株主総会の特殊決議を要する場合,種類株主総会の特別決議を要する場合について書きましたが,今日は,単一株式発行会社についてはどうかです。

 その前に思い出しておきます。消滅会社と存続会社,誰をどのような理由で保護しているのか。特殊決議はどちらか,特別決議はどちらか。譲渡性が低くなる方が特殊決議ですね。譲渡制限を設定する場合と同じ考え方です。持株比率の低下は,特殊決議とするまでもないでしょうということで,特別決議です。

 では,単一株式発行会社です。したがって,株主総会になるわけですが,特殊決議は,さてどちらか。譲渡性の低下の方ですから,消滅会社となります。その説明です。

 「合併により消滅する株式会社が公開会社であり,かつ,当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等であるときは,株主総会の特殊決議を要する(会社法309条3項2号)。これは,合併により譲渡性の低い対価を交付される株主の保護を図るためである(商事法務№1753 P39参照)。譲渡制限株式等とは,譲渡制限株式(会社法2条17号)又は取得条項付株式もしくは取得条項付新株予約権であって取得と引換えに譲渡制限株式が交付されるものをいう(施行規則186条)。吸収合併消滅株式会社が公開会社であり,吸収合併存続株式会社が非公開会社であるからといって,当然に吸収合併消滅会社の株主総会の決議が特殊決議となるものではない。「体系書 会社法 下巻」(近刊)から。

 では,単一株式発行会社が存続会社である場合の存続会社の株主保護は?持株比率の問題ですね。存続会社が非公開会社で消滅会社の株主に合併対価として存続会社の株式を交付する場合には,株主総会の特別決議を要する・・・あれれ,もともと特別決議ではないか・・・そうなのですが,この場合に,立法者は,略式合併も簡易合併もできないとして,必ず,株主総会の特別決議を要するものとしました(会社法796条1項ただし書,3項ただし書)。

 この機会に表を作って見てください。簡単にできると思います。キーワードを忘れないように。