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「司法書士試験 受験生のためのCheck Test 会社法」の再開 [Twitterから]

 8月2日より,「司法書士試験 受験生のためのCheck Test 会社法」を再開しようと思います。長い間のお休みをいただきました。

 本年度の司法書士試験筆記試験を受験されたみなさんは,合格間違いなしと確信されている方は別として,来年合格を期すと決意された方だけでなく,そうでない方も,すでに勉強を再開されていることと思いますし(していなければ早く),長年,「1年は短い,疲れが取れたら,すぐに来年に向けて勉強を再開しなければならない」と言い続けた私としても,合格を応援する私としても,いったん始めたtwitterでのCheck Testを再開しなければなりません。何より,継続は力なりですからね。

 再開は,7月2日分からの続きと当然のように考えていました。しかし,これからのYOUR PROJECTの計画をいろいろ考えていて,また,お寄せいただいた質問や要望等から,できるものであれば,基礎固め用(初級者用とは限りません),中級者用,上級者用,あるいは中上級者用と分けて,提供することがいいと実感するようになりました。

 そこで,基礎固め編と中上級編あるいは中級編,上級編に分け,まず,基礎固め編から,再スタートしようと思います。答えは,基本的に○×です。条文読みなさいよというときは,条文(第○○条第○項)を示します。解説したいなと思ったときは,このブログに書くことにします(これまで通りです)。

 「体系書 会社法」に従って,作成して行き,解答の際にその頁を示し,「体系書 会社法」を持っている方は,これに従って,読み進むことができるようにしたいと思います。問題編と解答編に分かれますが,解答編には,問題文を表示しません(表示すると140字の問題で面倒な事態が発生したことがたびたびなもので)。できれば,これ用にリストを作って,見てもらうといいと思います。

 土曜日及び日曜日はお休みとし,もし,ウイークデイにやむなく休んだ場合には,その週の土曜日又は日曜日に振り替えることとし,問題は朝,解答は晩ということにしたいと思います。


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Check Test 会社法№75 [Twitterから]

昨日(6月7日)の司法書士試験受験生のためのCheck Test 会社法№75です。http://bit.ly/cOP9Z7

「発起設立の場合と募集設立の場合とで,不足額てん補責任の要件が異なる。○か×か。」

発起設立と募集設立について最終回としたのですが,Check Testがその箇所に来ましたので,「会社法いろいろ」での発起設立と募集設立は最終回だったということで(言い訳でしょうか…)解答・解説ということにしました。平成20年の司法書士試験に,関連問題が出ていることですしね(H20年午前の部 第28問イ)。

解答・解説
○です。
株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載され,又は記録された価額(定款の変更があった場合にあっては,変更後の価額)に著しく不足するときは,発起人及び設立時取締役は,当該株式会社に対し,連帯して,当該不足額を支払う義務を負うこととされています(会社法52条1項)。これを不足額てん補責任とか財産価格てん補責任といいます。この責任は,発起設立と募集設立の場合とで,過失責任か無過失責任かという点で異なります(表を作っておきたいところです)。

発起設立の場合においては,当該財産の現物出資者又は財産引受けにおける譲渡人以外の発起人及び設立時取締役については,立証責任の転換された過失責任とされていますが(当該発起人又は設立時取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合には責任を負わない,同条2項2号),募集設立の場合においては,無過失責任とされ(会社法103条1項),当該発起人又は設立時取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明しても責任を免れないこととされています。

どうしてでしょうか。江頭「株式会社法第3版」P108から引用します。「募集設立においては,現物出資等の目的財産の価額が定款に定めた価額に著しく不足すると,設立時募集株式の引受人が実質的な不公平により損害を被ることから,発起人・設立時取締役の全員に無過失の連帯責任を負わせたものである」。設立時募集株式の引受人の保護というわけです。比較して理由も覚えておくと記憶に長くとどまる論点です。

なお,現物出資及び財産引受けの手続に際して裁判所選任の検査役の調査を経た場合には,当該財産の現物出資者又は財産引受けにおける譲渡人以外の発起人及び設立時取締役は,不足額てん補責任を負わないとされていますが(会社法52条2項1号),これは,公正な第三者の調査を経ている場合にもてん補責任を負わせるのは酷だからです。

さて,司法書士試験平成H20年午前の部 第28問イです。

「募集設立における発起人は,会社の成立の時における現物出資財産等の価額が定款に記載された価額に著しく不足する場合であっても,当該発起人がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明すれば,不足額を支払う義務を免れる。」
×ですね。比較の上,理由も押さえるということで記憶が確実になります。

淡竹.JPG

淡竹 破竹? 裏の山の斜面です。
今年は,よくできました。

発行可能株式総数 [Twitterから]

司法書士受験生のためのCheck Test 会社法№38 公開会社においては,設立時発行株式の総数は,発行可能株式総数の4分の1以下でなければならない。○か×か。

これは,超簡単じゃないか,公開会社で4分の1だから正しいと一瞬のうちに○だとした人はいませんか。正解は,×です。4分の1以下となっているからです。4分の1以上であれば○になります。ひっかけ問題と言われればそうかもしれませんが,しかし,そうだとしても引っかかってはいけません。

考えずに解答すると,あるいは暗記だけに頼る勉強をしていると,この問題は間違ってしまいます。そうだった人は要注意です。もっとも,そういう人は,このブログ初めから読んでないでしょうよね。

会社法37条3項
「設立時発行株式の総数は,発行可能株式総数の4分の1を下ることができない。ただし,設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は,この限りでない。」

発行可能株式総数の4分の1を下ることができない⇒つまり,4分の1以上でなければならないということですね。4分の1を下ることができないとはどういう意味かと聞かれたことがありますが,4分の1未満と同じ意味になります。4分の1まではいいけど,それより下,例えば5分の1とか6分の1とかはだめだよというわけです。

公開会社においてどうしてこのような規制が行われるのか。公開会社では,有利発行を除いて,株主の意思を問うことなく,募集株式の発行をすることができるので,歯止めが必要だというわけです(濫用のおそれ)。発行可能株式総数から設立時発行株式の総数をマイナスしたものが,株式会社成立後の取締役会に授権された発行可能枠(授権枠)ですから,設立時発行株式の総数が少なければ少ないほど,取締役会の授権枠が大きくなって,濫用のおそれが出てきます(現経営陣にとって支配を維持するための安易かつ強力な手段(不当支配の手段)となります)。

非公開会社においては,どうして,規制しないのか。それは,非公開会社においては,株主割当てでかつ定款に別段の定めがある場合を除いて,募集株式の発行については,株主総会の特別決議を要することになっているため,取締役あるいは取締役会の権限濫用の危険性が低いからです。なお,江頭先生は,ベンチャー企業では設立後短期間に大量の株式発行が多いことも挙げられています。

大会社 [Twitterから]

旧商法時代には,特例法(株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律)という法律があって,そこに,大会社と小会社の特例が規定されていました。そこで,株式会社には,その規模により,大会社,小会社,中会社の3種類に分けられました。法律の名称の通り,監査等に関する特例です。大会社については,規模が大きいから,監査を厳格にし,小会社については,規模が小さいから,監査を緩めるというわけです。その中間,つまり,商法(旧商法)の全面的適用があるのが,中会社というわけです。もっとも,大会社と小会社は,実定法上の概念でしたが,中会社は,実定法にはないものでした。

会社法は,規模による区別として,大会社とそれ以外の会社という分け方をしました。小会社の概念は消滅しました。中会社もですね。これまでの小と中をあわせて,大会社でない株式会社ということになります。

大会社については,監査を厳格にするという点については,基本的に,変わりません。そこで,機関設計の規律の柔軟化とは言いながら,会社法は,大会社については,公開会社であるかどうかを問わず,独立した監査のプロである会計監査人を必ず置かなければならないとされます(会社法328条2項)。また,公開会社である大会社では,監査役会又は委員会のいずれかを置かなければならないとされます(同条1項)。内部監査を充実させる必要があるということです。では,非公開会社である大会社はどうでしょう。非公開会社においても,会計監査人を置かなければなりませんから,その地位を守る者として,監査役又は委員会を置かなければなりません(会社法327条3項)。監査役については,もちろん業務監査権限を有しなければ話になりませんから,非公開会社であっても,定款をもってしても,会計監査の権限にとどめることはできません(会社法389条1項括弧書)。

他には・・・内部統制システムの構築が義務付けられます(会社法348条4項,362条5項)。貸借対照表の公告だけでなく,損益計算書の公告もしなければならない,連結計算書類・・・。

さて,規模が大きいといいましたが,どのような基準で規模が大きいというのでしょうか。常識的に考えればいいのですが,イメージとしては,取引が非常に多い,債権者がとても多いということでしょうが,客観的基準が必要ですね。会社法は,資本金の額と負債の総額との2重の基準によります(かつて,資本金の額だけが基準とされていた時代もありました)。前者は,大きな事業活動が可能であり,後者は,借金が多いということで,取引,債権者が多いことが想定されると考えられます。

会社法第2条6号です。
六 大会社 次に掲げる要件のいずれかに該当する株式会社をいう。
イ 最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上であること。
ロ 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上であること。

いずれも,最終事業年度に係る貸借対照表に計上された金額が基準とされていますね。
最終事業年度に係る貸借対照表は,(1)株式会社の成立後最初の定時株主総会を経ていない場合には,会社法435条1項の規定により作成した株式会社成立の日の貸借対照表,(2)株式会社成立後の通常の株式会社では,会社法438条2項により定時株主総会の承認を受けた貸借対照表,(3)会社法439条により要件を充たす会計監査人設置会社で取締役会で計算書類が確定した株式会社では,定時株主総会に報告された貸借対照表です(同括弧書)。

特例法は,次のようになっていました。

特例法第1条の2 この法律において「大会社」とは,次の各号のいずれかに該当する株式会社をいう。
一 資本の額が5億円以上であること。
二 最終の貸借対照表の負債の部に計上した金額の合計額が200億円以上であること。

そこで,特例法時代においては,期中で,資本金の額が増減した場合には,期中で大会社になったり大会社でなくなったりするため,ある規定が大会社に適用されるかどうかが問題となりました(経過規定が置かれていました)。しかし,会社法は,期中に資本金の額が増減しても,大会社は,資本金の額との関係では,「最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上であること。」とされますから,期中において,大会社になったり,大会社でなくなるということはなく,また,適用関係で問題になることはありません。

なお,負債の総額200億円未満になることによって大会社でなくなる場合についても,会社法のもとでは,もう1事業年度待つことなく,大会社でなくなるという点も,特例法時代と異なります。

一人会社 [Twitterから]

「いちにんがいしゃ」と,普通,読みます。「ひとりがいしゃ」と読む人もいます。後者が間違いというわけではないでしょう(ずいぶん前ですが,商法改正の折の立法担当官がこのように読まれたのを聞いたことがあります)。一人会社とは,株主又は社員が1人の会社をいいます。

何故に問題になってきたかというと,旧商法が,「本法ニ於イテ会社トハ商行為ヲ為スヲ業トスル目的ヲ以テ設立シタル社団ヲ謂フ」としていたからです(旧商法52条1項)。社団の概念としては,財団が財産の集合体であるのに対して,人の集団(団体)を意味しますが,1人では集団(団体)ではないではないかというわけです。

平成2年の有限会社法改正前においては,商法には,株式会社については,株主が1人となったことは解散事由とはされていませんでしたから(条文上の根拠),通説及び判例は,株式会社については,一人会社を肯定していました(社会的背景として,一人会社を認めることを求める実務界の存在があったことは当然ですが)。理論的根拠としては,潜在的社団の理論というのがありました(株式の譲渡によって複数となる可能性があることから社団性の要件は備えているというものです)。同年の有限会社法で,これまで,有限会社では社員が1人になったことを解散事由としていたところを削除しました。

しかし,合名会社及び合資会社については,社員が1人となったことが解散事由として残されました(会社法94条4号,147条)。なお,平成2年の商法改正では,株式会社について,それまで,設立の際に, 7人の発起人を要し,設立当初において株主が発起設立では7人,募集設立では8人を要するとされていたところ,1人で足りるとされました。したがって,設立当初から株主は1人でいいのだということにしたのですね。

さて,会社法は,まず,会社が社団であるという条文を置きませんでした。それは,合資会社を除くすべての会社について,一人会社を許容することが前提にあったからです。これに伴い,解散事由の「社員ガ1人ト為リタルコト」に変え「社員が欠けたこと」を解散事由としました(これは,合資会社においても同様です)。しかし,社団であるという規定を除いたからと言って,社団であることが否定されるわけではないと考えられます。

合名会社及び合同会社について一人会社を許容することについて,どのような理論的説明がされているのでしょうか。立案担当者によれば,次のとおりです。

「会社法では,平成2年改正において株式会社につき一人会社を認めたのと同様の理由により,一人持分会社を認めている。すなわち,株式会社については,株主が一人であっても,株式の譲渡や発行によって潜在的に二人以上の株主(社員)が存在しうることとなることを理由に一人株式会社が認められているが,この点は,持分の譲渡や社員の加入が認められる持分会社においても変わりがないといえる。」(立案担当者による新・会社法の解説P156)

さて,説得的かどうか。

一人合資会社は認められません。どうしてか。合資会社は,無限責任社員と有限責任社員とからなる二元的組織の持分会社だからです。そこで,「持分会社の社員の最低員数は,いずれの種類の持分会社においても,1人である。」×ですね。司法書士試験 H19年午前の部第34問アです。

では,合資会社においても社員が1人になったことは解散事由とはされていませんが,合資会社において社員が1人になったらどうなるのでしょうか。宿題です。


有限責任社員⇒雄弁責任社員になっていました。修正しました。

司法書士試験受験生のためのCheckTest会社法286. [Twitterから]

司法書士試験受験生のためのCheck Test 会社法286.甲合同会社を吸収分割会社,乙株式会社を吸収分割承継会社とする吸収分割で,甲合同会社においては,吸収分割契約について,原則として,総社員の同意を得なければならない。○か×か。

解答・解説
〈×です。〉
持分会社(会社分割の分割持分会社は,合同会社に限りますね)だから,総社員の同意を得なければならないような気になりますね。合併(消滅会社)はどうでしたか?原則として,総社員の同意ですね(会社法793条1項1号,ついでに813条1項1号も)。定款に別段の定めがある場合にはとありますが,これは,例によって,例のごとしです。
合併と違うんだ・・・です。会社分割は,事業譲渡の組織再編版ですよね。同じようなもので,事業譲渡でもできるのだけど,この事業譲渡は難点があって,これを克服するのが会社分割であるというわけで・・・。とすると,分割会社の社員に与える影響というのは,通常の事業譲渡と同様である(通常の業務執行行為)と言えるから,総社員の同意はいらないのではないかと考えられ,原則として,不要とされました。もっとも,その事業に関して有する権利義務の全部を他の会社に承継させてしまうのであれば,これは,分割会社の社員にとってみれば,大変なことですから(立案担当者は,合併に類似する効果を生ずると書いています),その場合には,総社員の同意を要するとするというのです(もちろん定款で別段の定めをすることができます)。会社法793条1項2号及び会社法813条1項2号をしっかり読んで確認しておいてください。「全部」「限る」となっているところを赤鉛筆などでぐるぐるぐる。

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