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Check Test 会社法№75 [Twitterから]

昨日(6月7日)の司法書士試験受験生のためのCheck Test 会社法№75です。http://bit.ly/cOP9Z7

「発起設立の場合と募集設立の場合とで,不足額てん補責任の要件が異なる。○か×か。」

発起設立と募集設立について最終回としたのですが,Check Testがその箇所に来ましたので,「会社法いろいろ」での発起設立と募集設立は最終回だったということで(言い訳でしょうか…)解答・解説ということにしました。平成20年の司法書士試験に,関連問題が出ていることですしね(H20年午前の部 第28問イ)。

解答・解説
○です。
株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載され,又は記録された価額(定款の変更があった場合にあっては,変更後の価額)に著しく不足するときは,発起人及び設立時取締役は,当該株式会社に対し,連帯して,当該不足額を支払う義務を負うこととされています(会社法52条1項)。これを不足額てん補責任とか財産価格てん補責任といいます。この責任は,発起設立と募集設立の場合とで,過失責任か無過失責任かという点で異なります(表を作っておきたいところです)。

発起設立の場合においては,当該財産の現物出資者又は財産引受けにおける譲渡人以外の発起人及び設立時取締役については,立証責任の転換された過失責任とされていますが(当該発起人又は設立時取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合には責任を負わない,同条2項2号),募集設立の場合においては,無過失責任とされ(会社法103条1項),当該発起人又は設立時取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明しても責任を免れないこととされています。

どうしてでしょうか。江頭「株式会社法第3版」P108から引用します。「募集設立においては,現物出資等の目的財産の価額が定款に定めた価額に著しく不足すると,設立時募集株式の引受人が実質的な不公平により損害を被ることから,発起人・設立時取締役の全員に無過失の連帯責任を負わせたものである」。設立時募集株式の引受人の保護というわけです。比較して理由も覚えておくと記憶に長くとどまる論点です。

なお,現物出資及び財産引受けの手続に際して裁判所選任の検査役の調査を経た場合には,当該財産の現物出資者又は財産引受けにおける譲渡人以外の発起人及び設立時取締役は,不足額てん補責任を負わないとされていますが(会社法52条2項1号),これは,公正な第三者の調査を経ている場合にもてん補責任を負わせるのは酷だからです。

さて,司法書士試験平成H20年午前の部 第28問イです。

「募集設立における発起人は,会社の成立の時における現物出資財産等の価額が定款に記載された価額に著しく不足する場合であっても,当該発起人がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明すれば,不足額を支払う義務を免れる。」
×ですね。比較の上,理由も押さえるということで記憶が確実になります。

淡竹.JPG

淡竹 破竹? 裏の山の斜面です。
今年は,よくできました。

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