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募集社債の打切り発行の原則 [会社法いろいろ]

 司法書士試験受験生のためのCheck Test 会社法212.社債の応募額が社債の総額に達しないときは,社債全部が不成立となるが,募集事項として定めれば,社債の応募額の限度で社債を発行することができる。○か×か。 正解は,×です。 正解を○だと考えた方も多いのではないでしょうか。

 今日は,この問題の解説です。条文は,どこを見ればよいかというと,会社法676条11号です。会社法676条は,募集社債の募集事項を定めているのですが,11号は,定めるべき募集事項として「一定の日までに募集社債の総額について割当てを受ける旨を定めていない場合において,募集社債の全部を発行しないこととするときは,その旨及びその一定の日」としています。この条文は,打切り発行を原則とするよと言っているのです。もし,打切り発行にしない(つまり,応募額が社債の総額に達しないときは,全部について発行しない(社債不成立)とするのであれば),それを募集事項で定めなさいね,と言っているわけで,募集事項で定めていないのであれば,応募額で社債は成立するからね,というわけです。わかりにくい条文だと思いますが,これは,旧商法が逆であったことを知る者にとっては,そうかなるほどという箇所です。つまり,旧商法時代には,打切り発行とするためには,社債申込証の用紙にその旨を記載する必要があったのです。記載していなければ,応募額が社債の総額に達しないときは社債全部が不成立となっていたのです。このような取扱いは,理論的根拠に乏しいではないかということと,募集株式の発行とのバランスから,打切り発行が原則とされたものです。
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