SSブログ

会社分割の場合の分割会社及び承継会社の株主,種類株主保護の問題 [会社法いろいろ]

 会社分割の場合です。ここでは,会社法では,物的分割だけなんだ,人的分割に当たるものは廃止されたんだということが大事です(会社法758条4号の柱書の吸収分割会社に対してのところを赤鉛筆で囲んでおく,763条6号,8号柱書の新設分割会社に対してもそうです)。物的分割は,分割対価を分割会社に交付するもので,人的分割は,分割会社の株主・社員に交付するというものです。

 合併の消滅会社に当たるのが,分割会社であるわけですが,分割会社の株主,種類株主の保護のための株主総会,種類株主総会の特殊決議に関する規定がありません。どうしてか,分割対価は,株主ではなく,分割会社に交付されるからというのがその理由です。そこで,分割会社において,吸収分割契約の株主総会における承認決議は,常に,特別決議ということになります。

 では,分割承継会社の方はどうでしょうか。分割承継会社は,合併の存続会社に当たるものです。問題は,持株比率ですね。影響を受けることがありますね。まず,種類株主総会の特別決議から。「吸収分割承継株式会社が種類株式発行会社である場合において,吸収分割会社に対して吸収分割承継株式会社のある種類の株式を交付する場合に,その種類の株式が譲渡制限株式であって,定款で当該種類株式の募集について種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがないものについては,その種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が2以上ある場合にあっては,当該2以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会)の特別決議がなければ,その効力を生じない(会社法795条4項,324条2項6号)。ただし,当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主が存しない場合は,この決議は不要である(会社法795条4項ただし書)。」
 株主総会については,もともと特別決議ですが,略式分割及び簡易分割を認めないということで分割承継会社において株主総会の特別決議を要するとするわけです。すなわち,「吸収分割会社に対して交付する金銭等の全部又は一部が吸収分割承継株式会社の譲渡制限株式である場合であって,吸収分割承継株式会社が公開会社でないときは,略式分割は認められない(会社法796条ただし書)。吸収分割会社に対して交付する金銭等の全部又は一部が吸収分割承継株式会社の譲渡制限株式である場合であって,吸収分割承継株式会社が公開会社でないときは,簡易分割は認められない(会社法796条3項柱書のただし書)」。




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0