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株主名簿閉鎖制度はいつなくなった? [Twitterから]

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 本来,株主総会や種類株主総会において議決権を行使したり剰余金の配当を受ける等の権利を有する者は,その時点における株主名簿上の株主ということになります。ところが,株主が多数いて変動する株式会社においては,誰がその時点における株主名簿上の株主であるか(質権者も同様です)を把握することが容易ではありません。しかし,株主(質権者)の権利を行使する者を確定させる必要があります。そこで,そのための制度として,昭和25年の商法改正により,株主名簿閉鎖制度と基準日の制度が商法に規定されました。

 前者は,株主又は質権者を固定して,株主又は質権者の権利を行使する者を確定するため,一定期間株主名簿の書換えをしないというものです。これによって,株主名簿閉鎖時における株主名簿上の株主が株式会社に対する権利を行使することができる株主であるということになります。基準日の制度は,一定の日(基準日)を定めて,その日において株主名簿に記載又は記録されている株主を株主の権利を行使すべき者とする制度です(会社法124条1項)。

会社法をみると,基準日の制度に関する規定はありますが,株主名簿閉鎖に関する規定はありません。いつなくなったのでしょうか。会社法の成立と同時だと思っている人が多いのでなないかと思うのですが,そうではありません。平成16年の商法改正によります。電子公告・株券不発行制度の導入に関する商法改正のときです。

 立法担当官は,その理由について,「株券廃止会社において閉鎖期間を設けることを認めると,その期間内は株式の譲受人や担保取得者は第三者対抗要件を取得することができないことになる結果,株式譲渡の自由が制限されることになる一方,株券廃止会社か否かを問わず,現在の株式実務においては,基準日の制度さえあれば,閉鎖期間制度はなくとも足りることによるものである。」と書かれています(商事法務No.1705 P35)。

 つまり,平成16年の商法改正によって基準日制度に一本化され,会社法は,これを受け継ぎました。