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条文を追っかける(1) [条文を追っかける]

次の問題,あなたは,○としますか,×としますか?
「吸収合併存続会社が持分会社であるときは,定款に別段の定めがある場合を除き,吸収合併の効力発生日の前日までに,吸収合併契約について当該持分会社の総社員の同意を得なければならない。」

「会社法は,条文である。条文だけ読んでおけば点が取れる。」という受験生がいるとか・・・多いとは思えませんし,本気で言っているのかは大いに疑問ですが(読んですっと頭に入るのであればこれに異論はありません,すっと入らないものが多いから問題なのであって…ぶつぶつぶつ…)。会社法は,その条文の表現が回りくどいものがいっぱいあるし,条文をひとつ読めばいいのではなく,他の条文を追っかけなくてはゴールしないというものが結構あってわかりにくいと思いませんか。立法担当者は,わかりやすい会社法を目指したはずなのになあと思いながら(現代語化にあたっては,通常人が読み解けるものをと考えたと思うのです),「体系書 会社法」の原稿(PC)に向かうことがたびたびでした。

条文を追っかけるものを取り出せば,役に立ち,頭の中に残るのでは…と思ったので,書くことにしました。条文をみんなで読もうよ,みんなで読めばこわくない,というところでしょうか。

その条文です。まず,会社法802条1項です。2項に準用及び読替え規定があります(苦手です。しかし,体系書書くためには一字一字読まなければなりませんでした)。

会社法802条1項柱書
「次の各号に掲げる行為をする持分会社(以下この条において,「存続持分会社等」という。)は,当該各号に定める場合には,効力発生日の前日までに,吸収合併契約等について存続持分会社等の総社員の同意を得なければならない。ただし,定款に別段の定めがある場合は,この限りではない。」定款で排除できるというのは,持分会社における定款自治で立法の基本方針のようなものですね。次の各号に掲げる行為とあります。吸収合併,吸収分割,株式交換に分けてあります(このようにまとめて規定したために却って読みにくくなっているような気がします)。

1号に掲げる行為をする持分会社…1号とは
「一 吸収合併(吸収合併により当該持分会社が存続する場合に限る。) 第751条第1項第2号に規定する場合」
括弧書は,存続会社が持分会社である場合のことですよと言っています。

会社法751条第1項第2号を見ない限り,まだ,わからないですね。柱書だけで,おっ!この問題は,正しい記述であると思ってはいけません。2号を見るのを面倒がってはいけません(しかし,面倒!)。面倒と思ったら,わからないままです。で,その会社法751条1項には,持分会社が存続会社である場合の吸収合併契約で定めるべき事項が書いてあるわけですが,その2号には,
「吸収合併消滅株式会社の株主又は吸収合併消滅持分会社の社員が吸収合併に際して吸収合併存続持分会社の社員となるときは,次のイからハまでに掲げる吸収合併存続持分会社の区分に応じ,当該イからハまでに定める事項
イ 合名会社 当該社員の氏名又は名称及び住所並びに出資の額
…以下略」とあります。

一つだけ追っかければよかったから,大したことはなかったかもしれませんね。

つまり,吸収合併存続持分会社において,総社員の同意を要するのは,「吸収合併消滅株式会社の株主又は吸収合併消滅持分会社の社員が吸収合併存続持分会社の社員となるときに限る」のですね。だから,私は,これを×とします。

長かったでしょうか。私の書いたものの方が回りくどいと言われそうな気もします。
では,どうしてでしょう。理由を考えてみてください。

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