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平成21年度午前の部第34問 イ オ エ [Twitterから]

先週の金曜日及び昨日と今日,Check Test会社法で,昨年,司法書士試験で出題された問題に関する出題をしましたので,その部分に関する司法書士試験の問題の解説を書きました。

平成22年度司法書士試験午前の部

問題文
第34問 会社法上の訴えに関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らして誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
イ 株主は,株主総会の決議の取消しの訴えを提起した場合において,当該株主総会の決議の日から3か月が経過したときは,新たな取消事由を追加主張することはできない。

オ 株主は,他の株主に対する招集手続の瑕疵を理由として,株主総会の決議の取消しの訴えを提起することはできない。

エ 株主は,募集に係る株式の発行がされた後は,当該株式の発行に関する株主総会の決議の無効確認の訴えを提起することはできない。
※ オについて,「瑕疵」については振り仮名(かし)が振ってあります。

解答・解説
イ 正しい
株主総会の決議の取消しは,株主総会の決議の日から3カ月以内に,訴えをもってのみ主張することができることとされています(会社法831条1項)。この提訴期間との関係で決議の日から3カ月以内に,ある事由を取消事由として取消しの訴えが提起された後,3カ月経過後に新たな取消事由を追加主張することができるかどうかについて,争いがあります。この点について,最判昭和51年12月24日は,所定の期間経過後に新たな取消事由を追加主張することは許されないとしています。これは,この規定の趣旨が,瑕疵のある決議の効力を早期に明確にすることにあることがその理由です。

オ 誤っている
旧商法当時ですが,最高裁判所は,株主は,自己に対する株主総会の招集手続に瑕疵がなくても,他の株主に対する招集手続に瑕疵のある場合には,決議の取消しの訴えを提起することができる旨判示しています(最判S42.9.28)。招集手続に瑕疵がある場合の決議の取消しの訴えの制度は,手続の瑕疵それ自体に対する非難というよりは,むしろその瑕疵のために公正な決議の成立が妨げられたかも知れないという意味での抗議を認める制度で,決議の公正について他の株主も利害関係をもつからです(会社法判例百選第六版 P67)。

エ 正しい
旧商法当時ですが,最高裁判所は,新株発行がすでに発行された後は,新株発行に関する決議無効確認の訴えは,もはや確認の利益を欠き提起できないと解しています(最判S40.6.29)。この趣旨に照らせば,株主は,募集に係る株式の発行がされた後は,当該株式の発行に関する株主総会の決議の無効確認の訴えを提起することはできないということになります。募集に係る株式の発行がされた後は,新株発行無効の訴えの制度がある以上,この訴えを提起しないかぎり当該新株の発行を無効とすることはできないからです(上記判決参照)。

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