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任意後見制度 最終回 [後見制度]

任意後見契約の終了 つづき

法定後見開始の審判等
 任意後見契約が登記されている場合には,家庭裁判所は,本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り,後見開始等(後見開始,保佐開始,補助開始)の審判をすることができるとされています(任意後見法10条1項)。本人保護と本人の意思の尊重の衝突の一場面ですが,「特に・・・限り」とあるところに,本人の意思の尊重を優先していることがうかがえます。後見・保佐・補助開始の審判の請求は,任意後見受任者,任意後見人又は任意後見監督人もすることができます(同条2項)

 では,後見開始・保佐開始・補助開始の審判が行われた場合に,任意後見契約はどうなるでしょうか。

 任意後見監督人が選任される前か後かで異なります。任意後見法10条3項は,任意後見人が選任された後(つまり,任意後見契約が効力を生じていた場合)には,任意後見契約は終了するとされています。任意後見人と法定後見人等の権限の抵触を避けるためです。

 これに対して,任意後見監督人が選任されていない場合には,後見開始の審判等があっても任意後見契約は終了しないということになります。

委任契約の終了事由
 任意後見契約は,委任契約ですから,委任の終了事由に関する民法653条の適用があります。そこで,任意後見契約は,次の事由の発生によって終了します。

1 本人又は任意後見人の死亡
2 任意後見人が破産手続開始の決定を受けたこと。
3 任意後見人が後見開始の審判を受けたこと。

 任意後見契約の効力が発生した後に,本人の死亡によって任意後見契約が終了するということは,言ってみれば当然の想定事項だと思われますが,任意後見の効力が発生する前に本人の死亡によって任意後見契約が終了するということは,当然の想定事項とは言えないと思います。後者が結構多いのではないかと思えるのですがどうでしょうか。任意後見契約の委任者(本人)の年齢が80歳以上が約半数であることだけでなく,任意後見契約を締結しても,任意後見監督人を選任する段階において,本人が同意しないことが多いことにも原因があるのでしょうか。

 任意後見人が死亡するというのは,もちろん,不慮の事故,あるいは病によるということもあるでしょうが,高齢によるということもありそうです。そうであれば,任意後見人の年齢も問題になりそうです。

任意後見人の代理権の消滅の対抗要件
 任意後見人の代理権の消滅は,登記をしなければ,善意の第三者に対抗することができないとされています(任意後見法11条)。取引の安全の要請によります。

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