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適用除外の適用除外 否定の否定 [条文を追っかける]

 適用除外の適用除外…否定の否定 この場合には,結局適用するということなのですよね。

 昨日のCheck Test 会社法№139です。

 司法書士試験 受験生のためのCheck Test 会社法№139 株式会社が株主の相続人その他の一般承継人からその相続その他の一般承継により取得した当該株式会社の株式を取得する場合には,他の株主は,売主追加請求権を有しない。○か×か。

 解答は,×です。問題文としては,非公開会社に限定していないので,×としました。非公開会社に限定するところに意味があるからです。会社法162条柱書のただし書,1号です。


会社法162条を見ます。

(相続人等からの取得の特則)
第百六十二条  第百六十条第二項及び第三項の規定は、株式会社が株主の相続人その他の一般承継人からその相続その他の一般承継により取得した当該株式会社の株式を取得する場合には、適用しない。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない
一  株式会社が公開会社である場合
二  当該相続人その他の一般承継人が株主総会又は種類株主総会において当該株式について議決権を行使した場合

会社法160条2項,3項も必要ですね。では,ついでに1項も含めて。
(特定の株主からの取得)
第百六十条  株式会社は、第百五十六条第一項各号に掲げる事項の決定に併せて、同項の株主総会の決議によって、第百五十八条第一項の規定による通知を特定の株主に対して行う旨を定めることができる。
2  株式会社は、前項の規定による決定をしようとするときは、法務省令で定める時までに、株主(種類株式発行会社にあっては、取得する株式の種類の種類株主)に対し、次項の規定による請求をすることができる旨を通知しなければならない。
3  前項の株主は、第一項の特定の株主に自己をも加えたものを同項の株主総会の議案とすることを、法務省令で定める時までに、請求することができる。

 つまり,会社法160条2項は,3項は,当該譲渡株主以外の株主に私の株式も買ってくれという売主追加請求権を認めるものですが,この規定は,株式会社が株主の相続人その他の一般承継人からその相続その他の一般承継により取得した当該株式会社の株式を取得する場合には、適用しないというのですから,売主追加請求権は認められませんよ,と言っているのですよね。しかし,ただし書があって,次のいずれかに該当する場合は、この限りでないとするわけです。その1号に,「当該株式会社が公開会社である場合」は適用しないのだよということです。ということは,非公開会社だけですよとなります。とても回りくどいのですが,慣れれば簡単なのでしょうけどね。私は,だんだんと慣れてはきていますが・・。簡単に,「公開会社でない株式会社においては,・・・適用しない。ただし,当該相続人その他の一般承継人が株主総会・・・」とすると読みやすいのですけどね。

 私は,「体系書 会社法 上巻」で次のように書きました。P177からP178から引用です。

 非公開会社においては,会社法160条2項及び3項の規定(売主追加請求権)は,株式会社が株主の相続人その他の一般承継人からその相続その他の一般承継により取得した当該株式会社の株式を取得する場合には,適用されない(会社法162条)。つまり,非公開会社においては,取得する株式が株主の相続人その他の一般承継人からその相続その他の一般承継により取得したものである場合には,他の株主が自己を「特定の株主」に追加したものを株主総会の議案とすることの請求をすることはできない。これにより,株式会社は,当該相続人その他の一般承継人だけから自己株式を取得することができることになる。これは,非公開会社において,相続等により当該株式会社にとって好ましくない者が株主となった場合において当該株主も株式を手放すことについて異議がないときに,その状態を解消しやすくするための措置である(商事法務№1740 P48参照)。非公開会社であっても,当該相続人その他の一般承継人が株主総会又は種類株主総会において当該株式について議決権を行使した場合には,以上の特則は適用されない(同条2号)。この場合,当該相続人その他の一般承継人は,株主としてとどまることを選択しているからである。


 今日のブログは,雑談に関するものにしようと思いましたが,もしも・・・などとふと思って,会社法の問題にしました。

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