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買主の検査義務と通知義務 商法526条 その1 [商法総則・商行為法]

買主の検査義務と通知義務 商法526条 その1

 商法総則や商行為法は,民法の特別法ですから,商法総則・商行為法の勉強は,民法の勉強ともなります。どこが違うのかを意識すれば,記憶定着の程度が格段に違います。

 さて,そこで,今回のテーマは,買主の検査義務と通知義務なのですが,これに関係する民法の規定を先に掲げておくことにします。どのような条文が登場するか?

 民法の復習です。読んで確認しておきましょう。今日は,条文だけにとどめます。

 (権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任)
民法563条  売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる。
2  前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったときは、善意の買主は、契約の解除をすることができる。
3  代金減額の請求又は契約の解除は、善意の買主が損害賠償の請求をすることを妨げない。

民法564条  前条の規定による権利は、買主が善意であったときは事実を知った時から、悪意であったときは契約の時から、それぞれ1年以内に行使しなければならない。

(数量の不足又は物の一部滅失の場合における売主の担保責任)
民法565条  前2条の規定は、数量を指示して売買をした物に不足がある場合又は物の一部が契約の時に既に滅失していた場合において、買主がその不足又は滅失を知らなかったときについて準用する。

(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
民法566条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3  前2項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。

(売主の瑕疵担保責任)
民法570条  売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。
(債権等の消滅時効)

民法167条
債権は,10年間行使しないときは,消滅する。
2 略
商法526条は,これらに関する特則となります。 


(買主による目的物の検査及び通知)
商法526条  商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
2  前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができない。売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が6箇月以内にその瑕疵を発見したときも、同様とする。
3  前項の規定は、売主がその瑕疵又は数量の不足につき悪意であった場合には、適用しない。