SSブログ

再録 発起設立と募集設立 [会社法いろいろ]

 このところ,今年の司法書士試験の午前の部商法をみて,これに関連したことを書いてきましたが,商法は,昨日で,受験生の皆さんが,気になっていた問題については,一応終了したような気がしています。

 さて,今日はどうするかな,しばらく違うことするかな,一般社団・財団法人がとうとう出題されたことでもあるし,その問題にでも行こうかなと思いましたが,twitterでつぶやいたように,昨日から,このブログへのアクセスが急増して,初めて読むと言う方が大勢のようなので,過去書いたもので,今年の本試験に関係ありそうなものを読んでもらうのがいいなと思いました。

 それで,過去のブログを見ていたのでしたが,今年の第27問 発起設立と募集設立の比較に関して,次のものを読んでもらおうと思います。探し出すのが面倒だと言う声も聞こえてきそうなので,何回かにわたっての再録です。発起設立と募集設立の比較は,会社法施行後直後の平成18年でも出題されています。落としてはならない問題となっています。


 再録 2010.06.01から

 発起設立と募集設立 その1

 今を去ること何年前になるでしょうか。平成15年10月22日に法制審議会会社法(現代化関係)部会は,会社法制の現代化に関する要綱試案を発表しました。それから,かなり早い時期だったと思いますが,説明会が開催されたので聞きに行きました。どこであったのか,はっきりとした記憶がありません。平成2年の商法改正以来,改正に係る法制審議会部会長や立法担当官による説明会や講演会,パネルディスカッション等できるかぎり聞きに出かけて行くようにしていたのですが,会場がいろいろなところであったため,どこの会場だったか,情けないことに,特定できません(九段会館?)。もっとも,会場はどこでもいいのですが,壇上に立たれたのは,江頭先生であったという記憶は,はっきりしています。それまで,法制審議会の部会長として登場されるのが前田先生だったのですが,そのときから,前田先生から江頭先生に代わって,初めての説明会だったと思います。

 会社法制の現代化に関する要綱試案では,驚くことがたくさんありました。その中の一つが,株式会社の設立手続の方法を一本化し,発起設立だけにするというものでした。次のとおりです。

 第四部 株式会社・有限会社関係 第二 設立等関係 3 募集設立 「株式会社の設立手続のうち募集設立という方法を廃止し,発起設立に一本化するものとする。」

 今,この要綱試案を読み返してみれば,確かに(注)があって,(注)「募集設立を廃止することに伴い,発起設立手続に関して見直すべき点があるかどうかについて,実務上のニーズを踏まえ,なお検討する。」とあります。この(注)により,会社法は,募集設立を存続させたのでした。

 私は,この説明会の後,講義で何度か,商法が改正されれば,発起設立だけになりますと話したことがあります。今頃何を言っているか・・・ですが,取り消さなければなりませんね。しかし,説明会の時以後,ずっと,新しい会社法では,発起設立しかないと思い込んでいましたから。だから,講義で,商法が改正されれば,株式会社の設立手続の勉強は簡単になりますねと言ったのでした。

 ところが,会社法は,募集設立の手続を存続させたのでした。では,法制審議会は,なぜ,発起設立一本化の方針を立てたのでしょうか。平成2年の商法改正にさかのぼります。次回です。

 受験勉強に直結しないかもしれませんが,へ~昔はそうだったんだという感じで読んでもらえばいいと思います。それによって,現在がどうかきちんと記憶にとどまるのではないでしょうか。また,本職になってから,制度改正を考えるときに,もしや役に立つかもしれません。

Follow me twitter

http://bit.ly/cDWVp1

http://twitter.com/ueda_m

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。