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問屋 委任の規定の適用 [平成22年度司法書士試験筆記試験]

 内部関係
 商法552条2項  問屋ト委託者トノ間ニ於テハ本章ノ規定ノ他委任及ヒ代理ニ関スル規定ヲ準用ス

 委任の規定の適用
 商法552条は,問屋と委託者との間においては,問屋に関する規定のほか,委任に関する規定が準用されるとしているが,問屋と委託者との取次契約は,委任契約そのものですから,準用ではなく,適用です(この点については争いがないと言われています)。

 そこで,民法の委任に関する規定の適用により,問屋は,委託者に対して善良な管理者の注意をもって,その事務を処理する義務を負います(民法644条)。また,受任者の報酬に関する民法648条2項が適用され,後払となります。つまり,問屋は,委託者のためにする売買契約が成立する前に委託者に報酬を請求することはできません。もちろん別段の意思表示があれば別でしょうが,通常は,そのようなことはないと思われます。さらに,費用に関する民法の規定(民法649条~650条)が適用されます。

 平成22年度司法書士試験 午前の部 第35問
 ウ 問屋は,委託者のためにする売買に関し,委託者に対して善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負うが,仲立人は,委託者のため商行為の成立に尽力する義務を負う場合であっても,媒介する商行為に関し,当事者に対して善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務は負わない。×
後半は誤っていますが,前半は正しい記述です。

 イ 問屋は,委託者のためにする売買契約が成立する前であっても,委託者に報酬を請求することができるが,仲立人は,媒介する商行為が成立する前に,当事者に報酬を請求することはできない。×
後半は正しいのですが,前半の記述が誤っています。