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問屋営業 [平成22年度司法書士試験筆記試験]

 問屋営業

 問屋は,「といや」と読みます。「とんや」とは,概念が異なります。「とんや」は,世間では,卸売商(商品の流通過程において生産者と小売商との間にいる商人)のことをいいます。例えば,呉服問屋とかいいますよね。「とんや」は「といや」ではありません。法律的にみれば,自己の名で売買をするのは共通しますが,他人の計算でするか,自己の計算でするかで決定的に異なります。

 問屋の定義
 商法551条  問屋トハ自己ノ名ヲ以テ他人ノ為ニ物品ノ販売又ハ買入ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ

 口語文にします。問屋とは,自己の名をもって他人のために物品の販売又は買入れを行うことを業とする者をいう。自己の名をもってとは,問屋自身の名義でということで,物品の販売又は買入れの契約の当事者は,委託者ではなく,問屋ということです。他人のためにとは,他人の計算においてであると言われますが,経済的効果(取引から生ずる損益)が誰に帰属するかを問題にしています。

 法律行為は,原則的な形としては,本人の名義及び計算で行われます。例えば,Aが自分を契約当事者として売主Bと売買契約を締結し,Aに法律的効果(所有権移転,代金支払い義務等)が帰属します。ところが,他人の名で法律行為をし,その他人に法律的効果が帰属するというものがあります。代理です。その間にあるもの,つまり,自分の名で法律行為をするから法律的効果は行為者自身に帰属するが,その経済的効果は他人に帰属するというもの,これを取次ぎといいます。間接代理ということもあります。

 問屋 運送取扱人 準問屋
 取次ぎに関する行為を営業としてするときは商行為とされますから(営業的商行為,商法502条11号),自己の名をもって取次ぎに関する行為を業としてする者は,商人です(商法4条1個)。このような取次業者には,取次ぎの目的である行為が何であるかによって3種類に分けられます。物品(有価証券を含みます,最判S32.5.30)の販売又は買入れであるときが,問屋,物品運送(契約)であるときが,運送取扱人(商法559条1項),以上以外のときが,準問屋(商法558条)です。

 商法559条
 運送取扱人トハ自己ノ名ヲ以テ物品運送ノ取次ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ
② 運送取扱人ニハ本章ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外問屋ニ関スル規定ヲ準用ス

 商法558条
 本章ノ規定ハ自己ノ名ヲ以テ他人ノ為ニ販売又ハ買入ニ非サル行為ヲ為スヲ業トスル者ニ之ヲ準用ス