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仲立人の権利 2 [平成22年度司法書士試験筆記試験]

 仲立人の報酬請求権
 商法512条
 商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは,相当な報酬を請求することができる。

 商法550条
 仲立人ハ第546条ノ手続ヲ終ハリタル後ニ非サレハ報酬ヲ請求スルコトヲ得ス
 ② 仲立人ノ報酬ハ当事者双方平分シテ之ヲ負担ス

 仲立契約は,委任契約です。民法の規定によれば,特約がないかぎり無償ということになるのですが(民法648条1項),仲立人は,商人で,その営業の範囲内で他人のために行為をするということですから,特約の有無にかかわらず,報酬請求権を有します。この報酬請求権は仲立料と呼ばれます。この報酬には,費用(交通費,通信費等)が当然に含まれると解され,仲立人は,報酬とは別にこの費用を請求することはできないと解されています。

 商法550条は,その報酬の支払時期と報酬支払義務者について規定しています。まず,報酬の支払時期は,結約書の作成・交付の手続を終了した後とされています。ここまでが,仲立人のしなければならないことですから,この段階で報酬の支払の請求をすることができるというわけです。つまり,仲立人の媒介によって当事者間に契約が成立し,結約書の作成・交付が終了すれば,報酬の支払の請求をすることができます。


 また,仲立人の報酬支払義務は,仲立人に委託した一方当事者だけでなく,委託していない相手方も負担し,当事者双方が平分して(半額ずつ)負担するとされています。
 当事者双方が負担するという理由について,有斐閣アルマ商法総則・商行為法 第2版 P274は,「仲立人は,事後の紛争に備えて種々の義務を負うなど,委託者でない相手方についても,公平にその利益を図って業務を遂行する立場にあるので,委託者ばかりでなく非委託者に対しても,報酬を請求できるとされたものである。」としています。

 平成22年度司法書士試験 午前の部 第35問
イ 問屋は,委託者のためにする売買契約が成立する前であっても,委託者に報酬を請求することができるが,仲立人は,媒介する商行為が成立する前に,当事者に報酬を請求することはできない。×
後半は正しい記述ですが,前半の記述が誤っています。