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任意後見制度 その11 [後見制度]

任意後見契約の終了

 任意後見契約は,契約解除,任意後見人の解任,法定後見開始の審判,当事者の死亡等の委任契約の終了事由の発生によって終了します。

契約解除 任意後見法9条
 任意後見契約も,契約ですから,その契約の解除によって終了します。しかし,任意後見法9条は,この契約の解除について,任意後見監督人の選任される前と選任された後に分けて,次のように,規定しています。

第1項  第4条第1項の規定により任意後見監督人が選任される前においては,本人又は任意後見受任者は,いつでも,公証人の認証を受けた書面によって,任意後見契約を解除することができる。
第2項  第4条第1項の規定により任意後見監督人が選任された後においては,本人又は任意後見人は,正当な事由がある場合に限り,家庭裁判所の許可を得て,任意後見契約を解除することができる。

 つまり,任意後見監督人の選任前においては,本人又は任意後見受任者は,いつでも任意後見契約を解除することができるけれども,解除するには,公証人の認証を受けた書面によらなければならないということですね。公証人の認証を受けた書面となっていますが,これは,当事者の真意を担保するためです。契約締結時と異なり,公正証書による必要はありません。なお,この場合においても,任意後見契約で正当な事由がある場合に限るという限定が付されることが多いようです。

 任意後見監督人の選任後,つまり,任意後見契約が効力を生じた後においては,本人又は任意後見人は,正当な事由がある場合に限り,家庭裁判所の許可を得て,任意後見契約を解除することができます(同条2項)。任意後見契約が効力を生じた後ですから,本人保護のために,正当な事由の存在家庭裁判所の許可を要求するわけです。

解任 任意後見法8条
 任意後見人に不正な行為,著しい不行跡その他その任務に適しない事由があるときは,家庭裁判所は,任意後見監督人,本人,その親族又は検察官の請求により,任意後見人を解任することができることとされています(任意後見法8条)。

 任意後見監督人が解任の請求をすることができるとされているのは,監督権を実効的にするものとして当然だと思いますが,後見監督人が動かない場合に備えて,本人の親族及び検察官が請求することができるとされていることが注目されます。任意後見人の解任によって任意後見契約は終了することになります。

任意後見契約の終了は,続きます。

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