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任意後見制度 その7 [後見制度]

任意後見人の員数(任意後見人が複数の場合の単独代理と共同代理)

 任意後見人は1人に限られるという規制はありません。報酬を支払うという場合であれば,金銭的に余裕がある場合のことになるでしょうが,財産が各所にたくさんある等,各種の事務が多数である場合もあるでしょうから,複数の任意後見人が必要になることもあると考えられます。また,共同代理にして,代理権の濫用を防止するということもあるでしょうね。

 任意後見人が複数であるという場合には,それぞれの任意後見人が単独で代理権を行使するという単独代理の場合もあるし,共同代理の場合もあります。共同代理の定めは,登記事項とされていますから(後見登記等に関する法律5条5号),この登記(あるいは任意後見人の示す後見登記事項証明書)によって,単独代理か共同代理かが明らかになります。

 任意後見人が複数である場合に,単独代理であれば,任意後見契約について公正証書を作成するときには,公正証書も別々に作成されることになります。この場合には,任意後見契約も,各任意後見受任者ごとに独立の契約であると考えられるからです。単独代理の場合には,家庭裁判所は,任意後見受任者のうちの1人について不適任の事由があっても,他の任意後見受任者に不適任の事由がなければ,任意後見監督人の選任の審判をして,任意後見契約を発効させることができます。

 これに対して,共同代理ということになると,任意後見契約は,1個の不可分な契約ということになりますから,公正証書も1通ということになります。したがって,また,任意後見受任者のうちの1人について不適任の事由があれば,他の任意後見受任者について不適任の事由がなくても,家庭裁判所は,任意後見監督人の選任の審判をしないということになります。

今朝咲きました。
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