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民法の改正 児童虐待防止のための親権に係る制度の見直し その5  [民法]

(管理権の喪失の宣告)
民法第835条
管理権を行う父又は母が,管理が失当であったことによってその子の財産を危うくしたときは,家庭裁判所は,子の親族又は検察官の請求によって,その管理権の喪失を宣告することができる。

要綱案 第2
3 管理権喪失の審判
父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは,家庭裁判所は,子,その親族,未成年後見人,未成年後見監督人又は検察官の請求により,その父又は母について,管理権喪失の審判をすることができるものとする。

 管理権喪失の制度は,現民法のもとでも存在しますが,要綱案は,これを存続させたうえで,管理権喪失の原因及び管理権喪失の審判の申立人に変更を加えています。親権の停止に対応する管理権の停止の制度は,採用されていません。

 管理権喪失の原因については,現民法が「管理権を行う父又は母が,管理が失当であったことによってその子の財産を危うくしたときは」としているのに対して,親権の停止の場合と同様とし,「父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するとき」としています(親権停止原因については,「父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するとき」)。現民法は,「管理が失当であったことによってその子の財産を危うくしたときは」として,管理権喪失の場面を限定していますが,要綱案は,限定せず,適用場面を広げ,そして,子の側から,子の福祉の観点から判断するという立場に立っていると考えられます。

 管理権喪失の審判の申立人は,親権喪失の審判,親権停止の審判と同じであり,「子,その親族,未成年後見人,未成年後見監督人又は検察官」とされ,子本人及び未成年後見人,未成年後見監督人が追加されています。


(親権又は管理権の喪失の宣告の取消し)
民法第836条
前2条に規定する原因が消滅したときは,家庭裁判所は,本人又はその親族の請求によって,前2条の規定による親権又は管理権の喪失の宣告を取り消すことができる。

要綱案 第2
4 親権喪失,親権停止又は管理権喪失の審判の取消し
第2の1本文,2①又は3の原因が消滅したときは,家庭裁判所は,本人又はその親族の請求によって,親権喪失,親権停止又は管理権喪失の審判を取り消すことができるものとする。

 創設される親権停止の審判についても,本人又はその親族の請求によって親権停止の審判を取り消すことができるとするものです。

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