SSブログ

仲介業 代理商 [平成22年度司法書士試験筆記試験]

 今年度の午前の部第35問は,問屋と商事仲立人との比較という商行為法の問題でした。そこで,問屋と商事仲立人に関する事柄について,何回かにわけて書いてみることにします。

仲介業
 商法総則・商行為法の本をみると,代理仲立問屋を一つの章としてまとめてあるものがあります。代理は,代理商,仲立は,仲立営業(仲立人),問屋は問屋営業を取り扱っています。これらに共通するのは,仲介業務に関するということです。その仲介の形態として,ここに3類型が挙げられていることになります。

 まず,それぞれの商人のイメージがあった方がわかりやすいでしょうね。具体例でいきましょう。代理商については,損害保険の代理店をイメージしておきましょうか(家電製品の代理店でもいいですよ)。自動車の任意保険で毎年一度は連絡がありませんか。仲立人としては,旅行斡旋会社(もちろん会社である必要はありませんが,有名なところでもイメージしてください),問屋としては,証券会社をイメージしておきましょう。私が商行為法を習ったときは,証券会社が典型例だと言われたものですが,現在,金融商品取引法があるため,証券会社を商法の問屋と解する実益はほとんどないと言われていますが・・・。

 街をあるくとき,あるいは車で通るとき,看板をみたら,代理商,仲立人,問屋というように,確認しておくといいですね(連想です)。

代理商 
 さて,まず,代理商ですが,今年度は,出題されませんでしたが,可能性があるということで,さわりだけ。商法総則と会社法に規定があります。会社の代理商について,「体系書 会社法 上巻」P27からP30までにかけて,ふれています。

 代理商については,定義があって,「商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で,その商人の使用人でないものをいう。」とされています(商法27条括弧書)。会社法は,会社の代理商の定義規定を置いていますが,上記の商人の部分が会社になっているだけで,あとは,同じです(会社法16条括弧書)。会社も商人ですから(商法4条1項,会社法5条),以下,会社を含めて,商人の用語を使います。

 定義付けから,代理商は,取引の代理をする締約代理商と取引の媒介をする媒介代理商に分けることができます。取引の代理とは,商人の代理人として商人の名で相手方との間で法律行為をすることをいいます。これに対して,取引の媒介とは,商人と相手方との間で契約成立に至るように各種の仲介,斡旋,勧誘といった事実行為をすることをいいます。
 そこで,締約代理商は,法律行為をするという点において問屋と共通する面を有し,媒介代理商は,法律行為をするのではなく,契約成立に至るよう事実行為をするという点において,仲立人と共通する面を有します。

 しかし,代理商は,特定の商人のために取引の代理又は媒介をする者であって,不特定の商人あるいは商人でない者のために活動する仲立人や問屋と異なります。そこで,代理商の条文の位置が,商行為法のところになく,商法総則の商業使用人の次にあると言われています(会社法では,会社の使用人の次)。

 代理商契約(商人と代理商との間の契約)の法的性質は,委任(締約代理商)もしくは準委任(媒介代理商)です。そこで,委任に関する民法及び商法の一般規定(民法643条以下,商法504条,505条)の適用もしくは準用(民法656条)を受けることになりますが,商法総則に,代理商の権利義務について,特別の規定を置いています。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0